きかんぼうのあばれんぼう。町のすぐ近くの山の中に住んでいる小さなこぐまは、なかなかのやっかいものです。人の洗濯物をぐしゃぐしゃにしたり、釣り場のバケツをけっとばしたり、市場でわめきちらしたり。まるで「台風」のようだと、めったに誰もよりつきません。
こぐまの通り道になっているミックさんの庭でも、野菜を勝手に食べたり、花をひっこぬいたり。ミックさんはその都度しかりましたが、こぐまをきらいではありませんでした。
ある日、町に本物の台風がやってきます。ミックさんはこぐまに気をつけるように声をかけるのですが……。
台風みたいにやってきて、台風みたいにさっていく。そんなこぐまが、唯一大人しくしていたのは、ミックさんの家で過ごした夜。風に吹きとばされそうになったところを助けてくれたのです。こぐまはお礼なんて言いません。でも、じっとしているその姿の愛らしさといったら!
マンガ家としても活躍されているおくやまゆかさんの創作絵本は、誰かさんを思い出すようなチャーミングで心あたたまるお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
まちのちかくのやまにすむこぐまは、なかなかの やっかいもの。つりばではバケツをけっとばし、いちばでは わめきちらし、まるでたいふうのようだとまちのひとたちはめったに よりつきません。あるひ、ほんもののたいふうがふきあれて……… 台風みたいにやってきて、台風みたいにさっていく、小さなあばれんぼうこぐまの心あたたまるお話。
いつも台風のように荒れ放題のこぐまがミックさんの優しさに触れ、少しだけ改心するお話です。
こぐまは、どうしてそんなにも荒れているのか。
優しくされた経験が極端に少ないのかもしれませんし、意地悪された経験が極端に多いのかもしれません。
そんなこぐまの閉ざされた心を、ミックさんは少しだけ開くことができました。
なんだかその後が気になるような終わり方でしたが、これはこれで良かったのかもしれないと思いました。
(めむたんさん 40代・ママ 男の子21歳)
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