たらふく山の、山奥に、たらふくまんまという山男がいました。
とんでもなく大食らいの山男で、お腹がすくとふもとの村までおりて、勝手に畑の野菜を食べたり、家にあがりこんでごはんを食べたり。
何でも手当たり次第に食べてしまうので、村人は困って、山からたらふくまんまがおりてこられないように、落とし穴を掘ります。
でも、たらふくまんまときたら、自分から落とし穴に落ちて遊ぶ始末……。
悪気はないものの、村はめちゃくちゃ。村人が困るのも当然です。
たらふく山のずっと向こうにある、こんぴら山のこんぴら子という女の子は、そんなたらふくまんまに忠告します。
「おっさん、そんなに、めちゃくちゃに食べると、おなかがぱんくするよ。」
笑ってとりあわない、たらふくまんまですが、果たして、こんぴら子の言ったとおりになっちゃいます。
さあ、おなかがぱんくした、たらふくまんまはどうなったでしょう。
「11ぴきのねこ」シリーズで多くのファンをもつ馬場のぼるさんの幼年童話。
「食べすぎておなかがぱんくしそう」なんて言うことがありますが、本当にぱんくするとどうなるのか、想像するのもちょっぴりこわくておもしろい。
温かいユーモアのあるイラストがどのページにも描かれ、親しみやすく、手にとりやすい小さめのサイズの本です。
本書は「こぐまのどんどんぶんこ」シリーズの一冊。
本を読むのがちょっと苦手な子も、どんどんたのしく読めるようにと工夫された幼年童話シリーズです。
小学校低学年の子どもたちの1人読みにぴったり。絵本の次に何を読もうかと迷っているお子さんがいたら、ぜひ手渡してあげたいシリーズです。
まずは馬場のぼるさんの愉快なイラストを楽しむつもりで手にとってみてください。
そして、このひげ面でちょっとおかしな山男のことを、くわしく知りたくなったら、ぜひお話を読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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