クワガタムシは、強くてかっこいい。
まさに昆虫の王。
そんなイメージだけで、クワガタムシを知った気になっていたような気がします。
たぶん間違ってはいないけれど、それがクワガタムシのすべてではないのです。
この絵本は、クワガタムシの生態について学びながら、
クワガタムシの人生(虫生?)を物語として楽しめる、まさにドキュメンタリーのような作品です。
イノシシがクワガタムシの幼虫たちに忍びよるシーンなんて、いったいどうなってしまうのかと心配で、ページをめくるのをためらってしまうほど。
そんなドラマティックな絵本ですが、なんといっても魅力なのは、クワガタムシの絵!
とっても迫力満点!!
それなのに、どこかコミカルで愛らしい。
飛ぶ姿、オオスズメバチに追い立てられる姿、木から落ちる姿……
かっこいい大あご(ツノのような部分)も、みんなちょっとずつ違っていてユーモラス。
昆虫の中でも特別だと思っていたクワガタムシの生活を知ることで、
遠い存在のスターに親近感を覚えたような、そんな感覚になります。
夏に読めば今すぐ森に出かけたくなり、冬に読めば眠っている幼虫に思いを馳せてみたくなる。
夏じゃなくても1年中楽しめる1冊です。
(近野明日花 絵本ナビライター)
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