あかいてぶくろ
- 文:
- 林 木林
- 絵:
- 岡田 千晶
- 出版社:
- 小峰書店
みどころ
あかいてぶくろのみぎとひだりは、いつも一緒に出かけます。ちびちゃんの小さな手が冷たくないように、ふっくらふんわり包むのです。
ちびちゃんが雪だるまを作れば、そっと力を合わせて手伝い、夜になればストーブの前に並んで、また明日ちびちゃんのためにふわふわでいてあげることを約束するのです。
ところがある日、ちびちゃんはみぎのてぶくろをなくしてしまいます。通ってきた道を探しまわるのですが、どこにも見当たりません。離れ離れになってしまった、みぎとひだり。今頃どうしているだろうかと、お互いを思うのですが……。
ちびちゃんの手をつつんでいる時も、雪の中で埋もれそうになっている時も、こうさぎやのねずみたちを温めている時も、その存在感を放ち続ける真っ赤なてぶくろ。少しずつほつれていくけれど、決して悲しい気持ちに覆われてしまわないのは、それぞれの場面を丁寧に繊細に、そして温かく描いてくれているからでしょうか。読み終わってみれば、ちびちゃんも、みぎもひだりも、なんだか頼もしく見えてくるのです。
幸せの形はそれぞれ。たくさんの人たちの心を包み込んでくれそうな、素敵なあかいてぶくろのお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
この書籍を作った人
山口県生まれ。詩人、絵本作家。詩情あふれる独自の視点で多彩な作品を創作。言葉遊びの達人でもある。詩のボクシング全国チャンピオン。サンリオ詩とメルヘン特別賞などを受賞。絵本『ひだまり』(光村教育図書)で産経児童出版文化賞産経新聞社賞、『みどりのほし』(童心社)で児童ペン賞絵本賞を受賞。詩集、絵本、翻訳、作詞など作品多数。
この書籍を作った人
大阪府に生まれる。ボローニャ国際絵本原画展2010入選。子どもの世界の繊細な表情をていねいに描く。作品に『ゆめのとびらをひらくとき』(カール・ニューソン作、岩崎書店)、『ハンカチさがし』(森山京作、文溪堂)、『ざしき童のはなし』(宮沢賢治作、ミキハウス)、『しゃっくりくーちゃん』(竹下文子文、白泉社)、『ボタンちゃん』(小川洋子作、PHP研究所)など多数。林 木林との絵本に『あかり』『ひだまり』『こもれび』(光村教育図書)がある。
真っ白な雪景色の中に映える赤い手袋。りすやきつねのしっぽも、ふわっふわに描かれていて、ほんわか優しい気持ちになります。
私は雪の多い地方出身ですが、今は雪の降らないところに引っ越してしまったので、なんだか懐かしい気持ちになりました。私が子供の頃は、母が手袋の右と左を毛糸でつなげて、なくさないようにしてくれていました。手袋が片方だけストーブの前に干されている場面を見て、そのことを思い出しました。
この絵本では、離ればなれになった左右の手袋、また一緒になれてよかったね…という結末にはなりません。お互いを気にかけながらも、それぞれが自分の道で自分の役割を全うし、幸せを感じています。それは、私たち大人の生き方にも通じる部分があるような気がしています。
絶対に離れないように毛糸でつながれてしまった手袋からは、こんな素敵な物語は生まれないでしょう。また歳を重ねてからも読み返したい一冊です。
(おもちとこあらさん)
お母さんに編んでもらった赤い手袋。
主人公のちびちゃんはとても大切にしていましたが、ある日片方の手袋を落としてしまいました。
ちびちゃんは、探し回りましたが見つかりません。
落としてしまった片方の手袋は、ちびちゃんの元へは戻らずわたくさんの動物たちへ温かさを届けました。
最初わが子は、手袋を落としたことを「かわいそうだねと」心配していました。
読み進めていくうちに、形は変わってもたくさんの動物を温める手袋の姿を見て「みんなが喜んでるね」と幸せな気持ちに変化していました。
雪の世界から、徐々に春の訪れも感じられる。
とても優しくて温かい気持ちになれる絵本です。
(ぱぱぱぱんださん)
ブランニュープラチナブックとは……?
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