世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2023.12.14
サンタクロース、この時期になるとその存在に思いを馳せることが多くなりますね。豊かな白髭をたくわえ、大きな体を赤い服に身を包み、優しく微笑んでいて……みんなが思い浮かべるサンタクロース、そのイメージはおおむね似ているのでは。
クリスマスの絵本には、サンタクロースが活躍する作品がいっぱい。
そもそもクリスマス以外の季節は何をしているんだろう?って素朴な疑問がわきますが、どうやら大仕事を終えた後はサンタさんもバカンスというお楽しみが待っているみたいです。
贈り物を届ける途中、泣いている子に出会うと放っておけないサンタクロースは、なんとも気が良くてサンタさんらしいけれど、それでは困っちゃいまますし、寝坊して慌てて服を裏返しに来たら性格まで裏返しになっちゃったサンタクロースは、さらにさらに困っちゃいます。でも、意外にも子どもたちには人気があるようですよ。
これまでのイメージがますますふくらむ? はたまたひるがえる? 個性豊かなサンタクロースが登場します。ぜひ、全部読んでほしい! 今年、子どもたちの所には、どんなサンタクロースがやってくるのでしょうか……?
この書籍を作った人
1934年イギリス ロンドンで生まれる。「さむがりやのサンタ」(福音館書店刊)でケイト・グリーナウェイ賞、「ゆきだるま」(評論社刊)でフランシス・ウィリアムズ・イラストレーション賞を受賞。「スノーマン」「さむがりやのサンタ」はビデオ化されている。
この書籍を作った人
東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。
この書籍を作った人
1945年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。絵本作家。子どもから大人まで幅広いファンを持ち、その著作は450冊を超える。世界中で翻訳出版されている絵本も数多い。『かくしたのだあれ』『たべたのだあれ』(以上文化出版局刊)でサンケイ児童出版文化賞受賞のほか、ボローニャ国際絵本原画展等、受賞多数。『みんなうんち』(福音館書店刊)、『きいろいのはちょうちょ』(偕成社刊)、『さる・るるる』(絵本館刊)などの作品がある。
みどころ
今日はクリスマス・イブ。サンタさんは大きなソリにたくさんのプレゼントをのせて、準備も万端。おくさんに見送られて、今年もプレゼント配りに出発です。トナカイにひかれて雪の降る夜空を駆けぬけるサンタさんは、憧れのイメージそのもの。
ところがこのサンタさん、とっても気のいいサンタさんなのです。道の途中で泣いていねこちゃんや、捨てられているこいぬを見かけたら放っておけないのです。あひるさんもことりさんも、捨てられたおもちゃやぬいぐるみ、おばけまでも。仕事の最中だったとしても放っておけないのです。
やっと全ての仕事が終わり、後はからっぽになったソリをひいて家まで帰るだけ……のはずが、いつの間にかソリの上がいっぱいになっていて!?
思わぬ展開に驚きと笑いがとまりません。さとうわきこさんが描く、気のよすぎるサンタさんと、それを全て受け入れてしまう豪快なおくさん。そのやりとりの面白さは期待通り! 1983年に初版が刊行されたこの絵本が嬉しい復刊です。時代をこえても、この愉快であたたかで幸せな空気は色あせることがないでしょう。コマ割りや吹き出しの効果でテンポよく楽しめます。
この書籍を作った人
東京都生まれ。児童出版美術家連盟会員。リアリズム作家の会同人。絵本に「おつかい」「たぬきがいっぱい」「おりょうりとうさん」「ねえ おきて」「ねえ まだねてるの」などの作品がある。
みどころ
今夜はクリスマス・イブ。
「しまった、ねぼうした!」
あわてて飛び起きたのはサンタさん。あんまりあわてて、あれあれ、服が裏返し。そうしたら、サンタさんがなんと……うらがえしサンタになっちゃった!
この「うらがえしサンタ」、ソリには乗らない、えんとつからも入らない、プレゼント配りは適当な上に口が悪い!? とんでもないのです。こんなに怒ってて、エラそうなサンタがきたら、さぞかし子どもたちも悲しんでいるだろうと思いきや。
「うわあ、サンタさんだ」
なぜだか、子どもたちからは大人気。クリスマスパーティーにまでお呼ばれしちゃって。サンタさんと言えば、いつもニコニコ、誰にでも優しいイメージなんじゃあないの? 不思議なこともあるものです。でも意外と本音をもらす大人には、かえって親しみがわくものなのかもしれませんよね。
思いもつかない設定で、いつも驚かせてくれる苅田澄子さんの文章に、期待以上の表情で笑わせてくれる高畠那生さんの絵の組み合わせ。世にも珍しい変わりものサンタが巻き起こす、ゆかいで痛快なお話です。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。出版社勤務の後、フリーで編集をしながら小沢正氏に師事。絵本に『いかりのギョーザ』(佼成出版社)、『ゆでたまごひめ』(教育画劇)、『えだまめきょうだい』(アリス館)、『かさじおやぶん いっけんらくちゃく』(小学館)、「どろろんびょういん」シリーズ(金の星社)などがある。
この書籍を作った人
1978年岐阜県生まれ。絵本作家。主な作品に『ぼく・わたし』『チーター大セール』(ともに絵本館)『いぬのムーバウいいねいいね』(講談社)『おまかせツアー』(理論社)『ぞうの金メダル』(作・斉藤洋/偕成社)『飛んでった家』(作・クロードロワ/訳・石津ちひろ/長崎出版)がある。
この書籍を作った人
作家。1935年札幌生まれ。東京都立高等保母学院卒業後、「みどり保育園」の主任保母になる。72年まで17年間勤めた。62年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。翌年『ぐりとぐら』刊行。『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞受賞。主な著書に絵本『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』『ももいろのきりん』、童話『かえるのエルタ』、エッセイ『絵本と私』『本・子ども・絵本』。映画「となりのトトロ」の楽曲「さんぽ」の作詞でも知られる。2013年菊池寛賞受賞。『ぐりとぐら』は現在まで10カ国語に翻訳されている。
この書籍を作った人
1941年東京生まれ。上智大学フランス語科卒業。旧姓大村百合子。高校三年の時より童話の挿絵や絵本の仕事を多くてがけ、明るく楽しい絵で子どもたちの心を魅了している。主な作品に、実姉中川李枝子氏とのコンビで「いやいやえん」「かえるのエルタ」「おひさまはらっぱ」「ぐりとぐら」シリーズ、「なぞなぞえほん」「くまさん くまさん」、自作絵本に「そらをとんだけいこのあやとり」「やまわきゆりこのあかちゃん日記」「やまわきゆりこのデイブック」などがある。
みどころ
サンタさんって、すごいですよね。子どもたちの願いがわかっているようだし、一晩でたくさんのプレゼントを配り終えてしまう。トナカイとのチームワークもばっちり。なんでも出来てしまうみたい。
でも実は……サンタさんが今の仕事を見つけるまでには、色々な経験をしてきたというのです! 若き日のサンタさんがついた仕事は、えんとつ掃除に郵便配達、レストランや動物園、ほかにもたくさん。どれも上手にこなしていくサンタさんなのですが、熱心に仕事をしすぎて、いつも問題が起きてしまうのです。それでも運命にみちびかれるように、トナカイたちや、おもちゃ作りの小人たちに出会い、やがて今の仕事へとつながっていくのです。
他の仕事をしているサンタさんを見るのなんて、初めてかもしれません。でもそれが、とっても愉快なエピソードばかり。だんだんと今のサンタさんの姿に近づいていく様子を見ながら、ワクワクしてくるのです。改めてサンタさんって、なんて奥深くて魅力的な人なのでしょう。
ほかの絵本とはちょっとちがう切り口で描くサンタさんの絵本。でもやっぱり夢のある楽しいお話なのです。幅広い年齢で楽しめそうですね。
この書籍を作った人
〈1974年-〉東京都生まれ。学生時代を熊本で過ごし、卒業後、児童書版元に入社。その後、留学などを経て、子どもの本の翻訳に携わる。東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。祖父はトルストイ文学の翻訳家、故・北御門二郎。
文:竹原雅子 編集:木村春子