絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  出版社エディターズブログ  >  大きな音が苦手なきつねが主人公。フィンランド発の絵本『しずかなところはどこにある?』 (岩波書店)

出版社エディターズブログ

2024.08.29

  • twitter
  • Facebook
  • line

大きな音が苦手なきつねが主人公。フィンランド発の絵本『しずかなところはどこにある?』 (岩波書店)

大きな音が苦手な、大きな耳のきつねのおはなしです。

森にあふれる大きな音を避けるように地中深く暮らす、ひとりぼっちのきつね。ある日、思い立って自分で「しずかなところ」を探しにでかけます。

そこで、見つけたのは、「おもいでのなか」「だれかによんでもらうおはなし」「ゆらゆらゆれるいなほ」……

物理的に音がない場所ではなく、五感を自由に広げられる場所でした。身近にあったはずの「しずけさ」にきつねが気がつくこの場面を読むと、どんどん心が晴れてゆきます。

そして、同じく大きな音が苦手なみみずと出会い、きつねは意を決して叫びます。

「しずかにしてくれー!大きな音はもうたくさん!」

心がざわつくとき、手にしたい絵本です。

丸ごと自分らしくいられる場所って、日常にそう多くはないのかもしれません。とくに子どもたちにとって、何かにおびえることなく、のびのびと心豊かに生活できる環境は何より大切です。

苦手なことを克服しようとするのではなく、自分が安らげる術を自分で見つける。苦手だからこそ知ることのできる世界がある。同じような感覚を持つ友だちを助けたいと行動する。ともに、生きづらさを超えていくためのヒントがたくさん詰まった、奥深い絵本です。

 

子どもを子ども扱いしない個性を尊重する国、フィンランドで生まれた作品です。

繊細な感受性を温かく描いたこの絵本は、フィンランド生まれ。子どもを子ども扱いせず、それぞれの個性を尊重する社会ならではの、細部まで行き届いたあたたかな眼差しを感じます。

フィンランドの児童文学作家レーッタ・ニエメラの感性豊かなストーリー、フィンランド在住のテキスタイルデザイナー島塚絵里によるやさしい絵と翻訳が、読む人をあたたかく包みます。

幼い子どもたちといっしょに楽しめる絵本です。心の中にきつねを住まわせることができたら、きっと自分らしい幸せを見つけるのが得意になるはず。

「しずかなところ」探し、きつねと一緒にしてみませんか?

  • しずかなところはどこにある?

    出版社からの内容紹介

    森にひっそりとくらす、耳の大きなきつね。大きな音が苦手で、しずかなところを探しにでかけます。毒きのこのかさの下、とじた目の奥、すずらんのかおり、思いがけない場所に見つかって……。なかまと出会い、しずかなパーティーを楽しみます。足もとに広がるゆたかな世界が見えてくる、フィンランド生まれのあたたかな絵本。

この書籍を作った人

レーッタ・ニエメラ

レーッタ・ニエメラ (Reetta Niemela)

フィンランドの児童文学作家。1973年生まれ。児童文学、詩集、絵本、ノンフィクションなどの分野で、幅広く活躍している。フィンランドで最も権威のある児童文学賞フィンランディア・ジュニア賞に3作品がノミネートされる。『Mustan Kuun majatalo(黒い月の宿)』でArvid Lydecken(アルヴィッド・リュデッケン)文学賞受賞。自然、動物に関連したテーマ、悩みを抱える人びとの声となるような作品が特徴。

この書籍を作った人

島塚絵里

島塚絵里 (シマツカエリ)

フィンランド在住のテキスタイルデザイナー、イラストレーター。津田塾大学で国際関係学を学び、東京と沖縄で英語教員を勤めた後、フィンランドに移住。アアルト大学でテキスタイルデザインを学び、テクニカルデザイナーとしてマリメッコ社に勤務後、2014年より独立し国内外の企業にデザインを提供する。著書に『北欧フィンランド配色ブック』(玄光社)、『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』(パイ インターナショナル)など。

http://www.erishimatsuka.com/

今、あなたにオススメ

出版社おすすめ



【特集】絵本ナビのクリスマス2025
【絵本ナビ厳選】特別な絵本・児童書セット
全ページためしよみ
年齢別絵本セット