みんないっちゃった
- 訳:
- 菱木 晃子
- 出版社:
- 小学館
絵本紹介
2025.12.26
今日もあの子たちはどこかへ行っちゃった。そしてフランクはひとりぼっち。でも……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本が『みんないっちゃった』。スウェーデンの絵本作家エーヴァ・リンドストロムによる繊細かつユーモラスのこのお話を、菱木晃子さんの翻訳で。どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
がらんとした背景から感じるのは、フランクの感じている孤独感。
フランクはひとりぼっちなのに、ティッティとパッレとミーランはあんなに楽しそう。
いつも一方的に見ているだけで、誰からも気にかけてもらえない。そんな切羽詰まった気持ちが伝わってくる一方で、どこか飄々としたユーモラスな一面も描写されるフランクの姿。
多くを語らずとも、登場する小道具の一つ一つや、子どもたちの表情や目線、俯瞰で描かれる場面などから、物語の違う一面も浮かびあがってくるこの絵本。
作者はアストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞作家のエーヴァ・リンドストロム。コミュニケーションへの不安を抱えている子どもたちに共通する悩みをまるごと優しく包み込みながら、それでも複雑で繊細に絡み合いながら変化していくコミュニケーションの面白さを魅力的に描きだします。
この後、みんなはどんな時間を過ごしたのだろう。いつもと違う一日になったきっかけはなんだったんだろう。そんなことを色々と想像しながら読んでみてもらいたい一冊です。
フランクにとって、その感情は
孤独の悲しみから流れでる涙。フランクはその涙を無駄にはしません。時間をかけて煮込んで、甘味をたっぷり加え、こんがり焼いたトーストにぴったりなマーマレードを作りだしてしまうのです。その様子からは、フランクの並々ならぬこだわりが見えてきますし、なんだか結構楽しそう。フランクにとって孤独の感情は悲しいだけではないのかもしれませんよね。大切にガラスびんにしまわれたマーマレードを見ながら、そんなことを思うのです。
この書籍を作った人
絵本作家、画家。1952 年、スウェーデン中部ヴェステロース生まれ。ヴェステロース美術学校やスウェーデン国立美術工芸学校(コンストファック)で学び、コミック作家、イラストレーターとして活動。1986 年より絵本を手がけ、作品は数十冊におよぶ。2007 年から15 年にかけてスウェーデン児童書アカデミー会員。1995 年にエルサ・ベスコフ賞、2013 年にアウグスト賞、 2022 年にアストリッド・リンドグレーン記念文学賞(ALMA)受賞。
この書籍を作った人
1960年東京都生まれ。スウェーデン法の研究者だった父の影響で、幼い頃よりスウェーデンの文化に親しんで育つ。慶應義塾大学卒業後、スウェーデンのウプサラでスウェーデン語を学ぶ。児童書を中心に、翻訳を多数手がける。訳書に「セーラーとペッカ」シリーズ(偕成社)、『長くつ下のピッピ ニュー・エディション』(岩波書店)、『ニルスのふしぎな旅』(福音館書店)、「ステフィとネッリの物語」シリーズ(新宿書房)など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。