解きたくなる数学
- 出版社:
- 岩波書店
絵本紹介
2026.04.10
「数学」
その文字を見ただけで、ピッと背中に緊張がはしる人。
真っ白な答案用紙を前にシャーペンを持つ手が完全に止まった思い出がサーっとよみがえってくる人。
計算問題や方程式を使った問題はスラスラ解けたのに、図形や文章題には苦手意識がある人。
…でも我が子には「数学嫌い」にはなってほしくないと思っている人。
そんな「数学に苦手意識を持つすべての人」の概念を覆す、新しくてページをめくる手が止まらなくなる問題集を知っていますか?
その名も、『解きたくなる数学』です。
お子さんと一緒にNHK Eテレを観たことのある人なら、誰もが一度は目にしたことのある人気教育番組「ピタゴラスイッチ」の制作を手掛けるメンバーが考えた、今までにない珠玉の23問が納められた全く新しい数学問題集。
今回は『解きたくなる数学』の魅力を深掘りしていきたいと思います。
『解きたくなる数学』のコンセプトはとってもシンプル。
ひと目で 問題の意味が分かる
ひと目で 問題を解きたくなる
「ひと目で 問題の意味が分かる」ってどういうこと?
それでは早速、問1を見てみましょう。
問1は、はかりの上にナットが山盛り乗っています。その重さは「360g」。
そこから1個、ナットを取り出します。あ、「357g」に変わりました!
この写真に添えられた問いは「ナットは全部で何個あるか。」です。
みなさんはこの問い、分かりますか?
それでは続いて「第2問」。
次は大人も子どもも大好きなチョコレートを使った問題です。
正方形のごく一般的なチョコレート。3つとも厚さは同じ。でも、大きさが違います。
このチョコレートの「大きな1つか、小さな2つがもらえます。
どっちをもらうのが 得でしょうか?」というのが問題です。
もちろん、定規で測ってはいけません。重さを図るのも×です。
でも、チョコレートの配置を変えるだけで、答えが分かるのだそう……。分かりますか?
こんな風に、写真を使った「問い」が紹介され、その後のページに「解答」と「考え方」が書かれている。それが『解きたくなる数学』の内容です。
それともうひとつ、どの問いにも右下に小さなメーターが描かれています。これは「難易度メーター」。問題の解答時間の目安が表されています。
23問すべてを最初から解かなくてもOK。はじめてチャレンジする人は「beginner すぐ分かる」問題から解いてみて、理解が深まってきたら「easy ちょっと考えれば分かる」「moderate 10分ねばろう」と難易度をあげていってみましょう。
「私は数学に自信があるから大丈夫!」という人は「ultimate 1時間かかるかも」問題を解いて自分の実力を試してみるのも面白いと思います。
家族やお友だちと解いてみる時は「difficult 30分ねばろう」にみんなでチャレンジしてみたり、思い切って「impossible 解けたらすごい」に挑んでみるのも盛り上がるかもしれません。
解けても解けなくても楽しめる。それが『解きたくなる数学』のポイントです。
この本のもうひとつのポイントは写真です。各問で紹介されている写真は、黒板に板書された0と1の数字や、横浜スタジアムをとらえた衛星写真、サイコロ1個、7枚のオセロ、5枚のコイン……など、日常の中でごく自然に目に入ってくるような、変哲もない1枚。でもその1枚の中にも、数学的考えが潜んでいることを、『解きたくなる数学』は教えてくれます。
一度この問題集を手に取ったら、今まで見ていた景色が一変して「ここにも何か問題があるかも?」「いつも座っているこの椅子でも数学の問題が生まれるんじゃないかな?」と発想が広がっていくことでしょう。
数学が苦手な人の頭の中には、「数式を覚えていないと難しい問題は解けない」「考える前に思考が停止してしまう」という人もいるかもしれません。
でも『解きたくなる数学』のように目の前に3枚のチョコレートがあったら? 5つの紙コップがあったら? 数式を思い浮かべるよりもまず手を動かして、あーでもない、こーでもないと答えが出るまで繰り返し解き方を考えるのではないでしょうか?
でも、何度間違えても、今まで解いてきた数学の問題集のように「解けなかったからダメだ」「やっぱり苦手だから」というネガティブな感情は生まれません。
「次はこうしてみようか?」「こっちに変えてみたらどうだろう?」と、新しい発想が生まれて、答えが出るまで手を動かしてみたくなるのです。仮に「解答」を見て、考え方が分かっても「分かったからもういいや」とはならないのが不思議なところ。
答えが分かったなら、実際にやってみて同じ答えが出るのか、やってみずにはいられないのです。そんな数学の問題集、今までにはありませんでしたよね。
数学の問題というと、大人はどうしても固定概念や過去に勉強した知識が邪魔をして、難しく複雑に考えてしまうもの。でもこの『解きたくなる数学』の重要なポイントは「論理の組み立て+抽象化+思考のジャンプ」なのです。
この「思考のジャンプ」が柔軟な考えを持つ子どもたちの得意とするところ。大人が思いもよらない考えを披露して、問題を解いてしまうかもしれません。
親子で同じ問題を解いてみて「うちの子、こんな風に考えるようになったんだ」「こういう考え方もあるなんて気づかなかったよ」と、ぜひ良いポイントを見つけてみてください。もしくは「ここはこういう計算を使うと出てくるんだよ」「お父さんはこう考えてみたんだけどどうかな?」と会話を進めることで、普段とは違ったコミュニケーションが生まれることでしょう。
ひとりでは解けなかった問題も、2人、3人と知恵を集めれば、誰かが思いもよらない「思考のジャンプ」を発揮して、突破口を見つけてくれるはずです。
『解きたくなる数学』の魅力にどっぷりハマった人、23問だけじゃなく、もっと問題を解いてみたい!という方には『新・解きたくなる数学』がおすすめです。
『解きたくなる数学』で解けなかった問題があった人も『新・解きたくなる数学』の中にスラスラ解ける問題が出てくるかも?
新学期、新しい学年に進学したお子さんへのプレゼントに。これからやってくるGWや夏休みなどの長期休みに家族で楽しむために、ぜひ『解きたくなる数学』『新・解きたくなる数学』の2冊をそろえて、じっくり問題に向き合ってみてくださいね。