いっちゃんはわたしのかわいいいもうとです
- 作:
- よこみち けいこ
- 絵:
- 北村 裕花
- 出版社:
- Gakken
出版社エディターズブログ
2026.05.12
「いっちゃんは わたしの かわいい いもうとです」……なんと姉妹愛にあふれるタイトルでしょう! でもタイトルとは裏腹に、この物語はお姉ちゃんの困り顔で始まります。「いもうとって ほんとに かわいい?」。そう言いたげなお姉ちゃん。どうやらモヤモヤを抱えているようです。子どもにとって人生最初のピンチは、弟妹の誕生だと言われています。この“フクザツなキモチ”は、すべてのお姉ちゃん、お兄ちゃんにとって永遠のテーマ! はたしてお姉ちゃん「わたし」は、そんなモヤモヤを乗り越えられるのでしょうか?!
タイトルの「いっちゃんは わたしの かわいい いもうとです」。最初、姉の「わたし」には、この「かわいい いもうとです」が腹落ちしていません。もしセリフにしたなら、まるで棒読みのような響きでしょう。でも「わたし」は、お話の中で日頃の不満を吐き出し、こっそり母にパワーをもらい、妹のある言葉を思い出します。するとどうでしょう! ラストの「かわいい いもうとです」は最初と全く違う、温もりに満ちた響きに聞こえるから不思議です。
イラストレーター・北村裕花さんの描く人物は、まなざしが秀逸! 妹を見つめる「わたし」の目からは、姉の言葉にならない、やるせない思いがひしひしと伝わります。とまどい、あきれ、不安……。妹に内緒でお母さんに抱っこしてもらう時の表情にはきゅんとします。そしてラスト、「こまった いもうと」と言いながら、いっちゃんに向けられた優しさにあふれるまなざし。まさに目が語るお話です。
妹の容赦ない「困らせぶり」はどれも、いつかどこかで見た光景。子育ての中で日々起こる出来事ばかりです。「これって◯◯ちゃんみたいだね」と親子で笑い合ってもいいし、「そうそう、こんなだった!」「まるで、うちの子!」と共感に浸ってもいい。何気ない日常の中で積もっていく「姉の葛藤」に、「うんうん、そうだよね。わかるよ」と答えてあげたくなるような、たまらなく愛しい絵本です。
親野智可等(おやのちから)先生から素敵なコメントが届いています!
わがままだけどかわいい。
かわいいけど手がかかる。
ずるいって思うけどかわいい。
かわいいけどいうこときかないから困る。
あまえんぼうで大変。
大変だけどかわいい。
自分に妹や弟がいる子は、
読みながら「こういうことある」「すごくわかる」
「うちの妹・弟もそう」と共感すること間違いなしです。
そして、自分の気持ちを見つめ直し、
改めてきょうだいへの愛情を自覚する
きっかけになると思います。
きょうだい仲をよくしてあげるのは
親が残す最高の教育の一つです。
それは一生の財産になるでしょう。
【プロフィール】
親野智可等(おやのちから)
教育評論家。教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『親の言葉100』『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Threads、Instagram、X(旧Twitter)、YouTubeなどでも発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。
Threads、Instagram、X、YouTube、講演のお問い合わせなどについては「親力」で検索してホームページから。
★よこみちけいこさんより★
私は二人姉妹の「妹」でした。子どもの頃、姉のことは本当に恐ろしかった! ケンカも絶えませんでした。でも姉の持つおもちゃや本、将来の夢まですべてが素敵に見えて、「お姉ちゃんみたいになりたい」と憧れて真似ばかりしては、怒られる日々でした。そんな私も母となり、わが子の姉弟を眺めては、手のかかる弟に振り回され健気に耐える娘に「我慢させてごめんね」と申し訳なく思うこともありました。でも、今や高校生と社会人。立場が逆転して弟がしっかり者になったりと、成長の不思議さを可笑しく眺めています。ぶつかり合い、真似し合い、育んでいく絆はいつか宝物になります。この一冊が、家族で笑い合えるひとときになれば幸いです。
★北村裕花さんより★
絵の依頼をいただいて、よこみちさんのお話を読んだとき、なんともほっこりとした温かい気持ちになりました。私自身は兄がいるので妹のいっちゃんの立場ですが、きっと子どもの頃の兄は、この絵本のお姉ちゃんのように我慢をしたり嫉妬をしたり、複雑な気持ちもあったのだろうな、と当時を振り返りながら、姉妹の表情を、気持ちを込めながら描きました。天真爛漫ないっちゃんと、なんだかんだ優しいお姉ちゃんのやりとりに注目していただきたいです。
【著者プロフィール】
文・よこみちけいこ
1972年、広島県呉市生まれ。「ばらのことり」が福音館書店創立50周年記念作品として採用され絵本作家デビュー。主な絵本に、第一回ママ絵本大賞受賞作『ひみつのたからさがし』(ポプラ社)、『まんじゅうやのてるこさん』(マイクロマガジン社)、『おまめがっこうだいずぐみ』(ニコモ)、『15びょうのだいぼうけん』(ひかりのくに)、紙芝居に『わん わん わーん!』(絵・やべみつのり/童心社)、『どんぐり ころころ こーろころ』(絵・長野ヒデ子/童心社)、『かいくんのたなばたかざり』(童心社)などがある。
絵・北村裕花
1983年、栃木県生まれ。多摩美術大学卒業。『おにぎりにんじゃ』で第33回講談社絵本新人賞佳作受賞。主な絵本に『ねこです。』『ゴリラさんは』(ともに講談社)、『こどもかいぎ』(フレーベル館)、『フートンのおふとん』(BL出版)、絵を手がけた作品に『かけっこ かけっこ』(文・中川ひろたか/講談社)、『くれよんがおれたとき』(文・かさいまり/くもん出版)、『かあちゃん えほんよんで』(作・かさいまり/絵本塾出版)などがある。そのほかの本に、NHK・Eテレの番組を書籍化した『ヨーコさんの“ 言葉”』(文・佐野洋子/講談社)がある。
出版社からの内容紹介
わたしには妹がいるよ。みんなにかわいいねと言われるけど、ほんとかな。妹はくいしんぼうだし、わがままだし、言うことをきかないし、すごーく甘えん坊。だけどね……。きょうだいのあるあるエピソードが盛りだくさん! きょうだいっていいねと思える絵本。
いろいろ不満があったり、ぶつかったりするけれど、きょうだいっていいものですよね。一緒に遊んだり、困ったときは助け合ったりできる、いちばん身近な存在です。本書は、そんなきょうだい(特にお姉ちゃん)の気もちを、ユーモアたっぷりに描いた絵本です。
作者は、子どもの繊細な気持ちを描き出すよこみちけいこさん(文)と、北村裕花さん(絵)のコンビ。主人公のお姉ちゃんには、いっちゃんという妹がいます。この妹、ちゃっかりしているというか、なかなかの性格なのです。お姉ちゃんのものをほしがったり、何かほしいものがあると駄々をこねたり、夜中のトイレには絶対ついてきてって言ったり……。お姉ちゃんは、いっちゃんを微妙な気もちで見ているのですが、いっちゃんが「お姉ちゃん、だーいすき!」と言っているのを聞くと、「もう、仕方ないな、かわいい妹だからな〜」となるのです。きっとお姉ちゃんのフクザツな気もちに共感できると思います。いっちゃんが見ていないところで、こっそりお母さんにだっこしてもらうお姉ちゃんにも、きゅんとします! よこみちけいこさんは、このお話はぜひ北村さんに描いてほしいと思っていたそうです。北村裕花さんもその気もちに応えて、かわいい姉妹をユーモアたっぷりに描いてくださいました。
*** 対象年齢 ***
読んであげるなら 3歳から
自分で読むなら 小学低学年から