おばけなんてないさ おばけなんてないさ
作・絵: せな けいこ  出版社: ポプラ社 ポプラ社の特集ページがあります!
誰もが歌ったことのある童謡「オバケなんてないさ」が、せなけいこのユーモアあふれる貼り絵で楽しい絵本になりました。
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格調高い影絵が彩る、珠玉のおはなし絵本『藤城清治 影絵の絵本 グリム』藤城清治さんインタビュー

93才になる今も、影絵作家として第一線で活躍を続ける藤城清治さん。全国各地で開催されている影絵の展覧会のほか、『銀河鉄道の夜』や『ぶどう酒びんのふしぎな旅』(ともに講談社)など、絵本もたくさん手がけられています。そんな藤城清治さん最新作『藤城清治 影絵の絵本 グリム』(講談社)が出版されました。有名なグリム童話の中から、藤城さん選りすぐりの5つのおはなしが影絵と共に楽しめる、プレゼントにもオススメの1冊。発売を記念して、藤城清治さんにお話を伺いました。

藤城清治 影絵の絵本 グリム
影絵:藤城 清治
出版社:講談社

藤城清治が「暮しの手帖」誌に連載した数あるお話の中から選りすぐられた、グリム原作の『雪白ちゃんとバラ紅ちゃん』『お月さまのなかった国』『六羽の白鳥』『土のなかの小人たち』『花にされた子ども』の5つのお話が、はじめて一冊の絵本になりました。 どの物語も作者渾身の影絵に彩られ、輝くような魅力を放っています。最新の印刷技術で美しく表現された、珠玉の影絵絵本。

『藤城清治 影絵の絵本 グリム』に収録されたお話を「暮しの手帖」に連載していた50〜60代は、最も脂が乗っていた時代。

───『藤城清治 影絵の絵本 グリム』の出版、おめでとうございます。この作品には、「雪白ちゃんとバラ紅ちゃん」や「六羽の白鳥」など、グリム童話が5編収められています。作品のセレクトはどのように行ったのでしょうか?

今回、絵本に収めた5つのおはなしは、1980〜1990年代にかけて雑誌「暮しの手帖」(暮しの手帖社)で連載していたものです。もちろん、当時と今では、撮影技術や印刷技術など何もかも違っていますから、絵本にするにあたって、新たに撮影をし直し、文章も改稿を加えています。

───グリム童話というと、「赤ずきん」や「白雪姫」など子どもたちになじみ深い作品もたくさんありますが、この5作を選んだのには、どんな理由があるのでしょうか?

ぼくはかつて、「グリム童話全集」の装丁をしていたこともあるので、グリム童話はたくさん読んできました。「暮しの手帖」でも、たくさんグリム童話を影絵として紹介していてね。「暮らしの手帖」に載せるものは、あまりみんなが知らないような作品を選ぶことが多かったかもしれません。

───ひとつの作品の中で、4、5点ほど影絵が掲載されていて、絵を楽しみながらおはなしの世界を旅することができる、とても贅沢な一冊ですね。おはなしの中でどの場面を影絵にするかは、初見でパッと思い浮かぶものなのでしょうか?

何度も読んで、影絵にしたいと思う場面を選んで作ったんだと思います。何しろ、もう何十年も前のことでしょう。どうやって作品を選んだかとか、細かいところは覚えていないんですよ(笑)。
ただ、この頃の作品がある意味で、一番脂が乗っていた時期なんじゃないかな。20代から影絵は制作していたんだけれど、ちょうど、50代に差し掛かるくらいから、影絵一本に絞って、力を入れはじめたんです。

───それまでは、ご自身が結成した劇団「木馬座」の公演や、人気キャラクター「ケロヨン」の番組制作など、テレビや舞台を中心に活躍されていた時期ですね。

そう。そういうのに夢中になって、20代のころから続けていた「暮しの手帖」での連載も7年ぐらい止まってしまっていたんだ。ぼくに影絵作家として道を示してくれたのが、「暮しの手帖」初代編集長の花森安治さんなんだけど、劇やテレビ番組が楽しくて、忙しくなっていた頃は、ほとんど疎遠になっていたんだ。
けれど、いろいろな経緯があって、一旦、「木馬座」から退くことになって……。そうして、何もなくなってしまったときに、また声をかけてくれたのも、花森さんだったんだよ。

───花森さんは、藤城さんの人生のターニングポイントに現れる人だったんですね。

花森さんの薦めで、再び「暮しの手帖」の連載をすることになって。それまではモノクロの影絵を連載していたけれど、新しくカラーの影絵をはじめようということになったんです。そこで作ったのが、グリム童話などの世界の童話や民話など、子どもたちが楽しめる作品と影絵の連載でした。

───今回の新刊に収録された5話も、そのときに連載していた作品なんですね。

そう。いろいろあって、影絵の世界に戻ってきたからには、生まれ変わったんだという気持ちで、新たにはじめることにしたんです。
再スタートの場所が「暮しの手帖」だったことも良かったし、花森さんとまた一緒に仕事ができるのも嬉しかった。そして、何よりカラー影絵という新しいことにチャレンジできるのもやりがいがあったね。

───カラーの影絵はモノクロの影絵とどんなところが違うのですか?

カラーの影絵もモノクロの影絵も、光を当てて絵を見せるところは同じなんです。でも、雑誌に載せる場合、撮影したものを印刷するから、カラーの方がモノクロより、実物の影絵と比べて、劣化して見えてしまう。だから「暮しの手帖」で連載をすることが決まったら、まず実物に光を当てたときと同じような色が印刷で再現できるように、撮影方法を工夫することからはじめました。

───今なら、デジタル技術や印刷技術がかなり進化していますから、光の色彩を印刷に再現することはそれほど難しくないのかもしれません。でも、まだデジタルカメラも生まれていない当時、光の彩色を印刷に反映させることはとても大変だったのではないでしょうか。

赤が黒ずんで見えてしまうようなところは、そこだけ色が明るくなるように工夫したり、黄色いところは、光で色が飛んでしまわないように、光を一部調節できるようにしたり、何度も研究を重ねました。
印刷に関しては花森さんがとても厳しい人だったので、印刷会社の人と熱心に交渉してくれて……。
最終的には生で見るよりも印刷したものを見た方が美しく見えると言われるまでに追究していきましたね。

───藤城さんと花森さん、おふたりが本気でカラー影絵を誌面に載せたいと思って作り上げた作品が、長年のときを経て、1冊の絵本になることは、大変感慨深いことですね。

それはもう一重に、暮しの手帖社のおかげですね。なにしろ、ぼくがあまり頓着しないところがあるもんだから、自分が作った作品でもね、撮影が終わったり、掲載してしまうと、処分してしまうことが多かったんですよ。

───作品をすべてですか?

そう。だから、「暮しの手帖」で連載再開する前の作品というのは、ほとんど手元に残っていないんです。
でも、「暮しの手帖」でのカラー影絵の連載がスタートしたとき、「藤城さんは放っておいたら、すぐに作品を捨ててしまうから、うちで保管しておきますよ」って全部預かってくれたんです。
今回、その原画が残っていたから、絵本を作るにあたり、すべての影絵を改めて撮影しなおすことができました。

───暮しの手帖社で保存されていなかったら、こんなに美しい影絵を目にすることができなかったんですね。

そういうことでね、この頃「暮しの手帖」で連載していた作品はずいぶん、いろいろなことに挑戦してやっていたんだ。
でも、連載を再開させて5年後くらいに花森さんが亡くなられて……。もうちょっと生きていてくれたら、もっといろいろなことができたんじゃないかって、今でも思うんだよね。

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藤城清治(ふじしろせいじ)

  • 1924年東京に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業。12歳から油絵を始め、独立美術協会展、新制作派展に入選。卒業後、名編集者の花森安治に認められ、雑誌「暮しの手帖」に影絵を連載。テレビ、影絵、国内外での展覧会の開催など多彩な活動を続ける。1983年には『銀河鉄道の夜』で、ブラチスラヴァ国際絵本原画コンクール・金のりんご賞を受賞。ほかに紫綬褒章、勲四等朝日小綬章、日本児童文芸家協会児童文化功労者など、多数の叙勲、受賞歴がある。近著に『光と影の詩人−藤城清治の世界』(平凡社)、『藤城清治作品集』(美術出版社)など多数。DVDに『銀河鉄道の夜』『ケロヨンのぼうけん』などがある。

作品紹介

藤城清治 影絵の絵本 グリム
影絵:藤城 清治
出版社:講談社
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