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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「MOE」から生まれた人気キャラクター最新刊!『しばわんこの和の行事えほん』川浦良枝さんインタビュー

───『しばわんこの和の行事えほん』は、「しばわんこの世界」の中では初めて小さいお子さんから楽しめる作品ですよね。この絵本を出すことになったきっかけを教えてください。


「しばわんこ」シリーズ作者・川浦良枝さん

「しばわんこの和のこころ」は2000年から雑誌「MOE」でスタートしました。15年の間に、「MOE」の読者の方もお子さんやお孫さんが生まれて、お母さん、お祖母ちゃんになった方も多いと思います。まだ小さなお子さん、お孫さんと一緒に、懐かしみながら楽しめるしばわんこの絵本を作りたいと思って、『しばわんこの和の行事えほん』を作りました。

───私も、学生時代にしばわんこの魅力にハマった一人ですが、一番下の娘が4才なので、和のこころを伝えるのはまだちょっと早いかな…と思っていたんです。でも、『しばわんこの和の行事えほん』を見たときに、子どもたちと一緒に楽しめる!と嬉しくなりました。

「しばわんこの和のこころ」シリーズは大人の読者を対象としたものなので、登場人物にちょっと複雑な人間関係を組み込んだりしていましたが、今回の絵本は、あえて人間は登場させず、動物だけにしているんです。


左が『しばわんこ和のこころ3』、右が『しばわんこの和の行事えほん』。

───絵のタッチも今までの「しばわんこの世界」と比べて変わっている様に感じました。

そうですね。毛を細かく描きこまないようにして子どもたちにも親しめるタッチに変えるようにしましたね。
頭身も子どもに近づけて、3〜4頭身を目指しました。

───しばわんこ、みけにゃんこ以外にもリスやウサギ、キツネやサル、クマが出てきて、「節分」ではリスが、豆をピッチャーのようなフォームで投げていたり、「お正月」のかるたあそびで、「さるもきからおちる」を読まれてビックリしていたサルが、「七夕」の短冊に「きから おちませんように」と書いていたり…動きもとても可愛くて、微笑ましかったです。

子どもたちがしばわんこを自分のお友達のように思ってくれたり、小さなところを発見して楽しめるような絵を描こうと思いました。

───描いていて、一番楽しかったページはどこですか?

「夏まつり」のおばけやしきでしょうか(笑)。

───動物たちのおばけやしきは、意外と本格的ですよね!しばわんこの泣き顔が新鮮でした。
行事や季節にまつわる折り紙あそびも、子どもと楽しむきっかけとなりました。


絵本ナビスタッフも子どもと一緒に折り紙にチャレンジ! 「おひな様」を作りました。


折り紙って、身近で手に入りやすいですし、小さい子でも楽しめる遊びですよね。折り方は「おりがみくらぶ」さんで掲載されていたものを参考にさせていただきました。

───折り方も総イラストで描かれていますよね。川浦さんも実際に折られたんですか?

私は絵本を作るときには、できるだけ自分でやってみてから描くことにしているんです。体験することで、自分の視点が入れられますし、読者にどうやったら一番伝わるかを考えることもできますから。折り紙も全部作って、折り方の手順など伝わりやすい絵を意識しました。

───ご自身で体験しているからこそ、分かりやすく表現できるし、動物たちの動きにも愛情を込められているんですね。

もちろん、行事について書かれている色んな本を参考にしたりもしています。ただ、今回の絵本では、今までの「しばわんこの世界」をかなり参考にして描いたんですよ(笑)。

───ご自身の作品が参考文献の役割をしていたんですね!
12月の「クリスマス」は今までの「しばわんこの世界」ではなじみがなかった洋風の行事も載っていて、ちょっと新鮮でした。


「節分」で描いた恵方巻きもそうですが、昔からある習慣ばかりではなく、新しい行事も入れていきたいと思ったのが、この「行事えほん」のテーマです。クリスマスもすっかり、冬の行事として定着していますよね。

───サンタさんの帽子をかぶっているしばわんこ、似合います(笑)!クリスマスパーティーをやっている動物たちの絵もとても可愛いです。

クリスマスを入れた理由はもうひとつあります。古くから行われている儀式は、日本も外国もつながっている部分があると思ったんです。例えば、クリスマスのモミの木と、お正月の松飾りは同じ常緑樹の葉を使っていますよね…。今、子どもたちは以前よりずっと国際的で、海外の人たちと出会う機会が増えていますが、自分の国の文化を愛して、その良さを相手に伝えることができるようになると、交流も深まると思っています。

───日本特有のものだと思っていた行事や習慣と似たものが海外にもあると知ると、その国の方を身近に感じられる気がしますよね。

そうなんです。「日本人なら知っていて当然!」ということではなく、日本の文化や習慣を突き詰めていきながら、同じ地球にいる仲間だねと言いあえることができたら、世界のみんなが平和で仲良く過ごせるんじゃないかと思うんです。


川浦さんが一番はじめに思い浮かべた、しばわんこのワンシーン

───2000年8月にはじめて雑誌「MOE」に登場したしばわんこは、どのようにして誕生したんですか?

私は本に携わる前、ステーショナリー関係のデザイナーをしていました。当時は、イングリッシュ・ガーデンが日本でブームになっていた時期で、私もガーデンの絵とかテディベアの絵とか、洋風のクラシカルで繊細なイラストばかりを描いていたんですね。
あるとき、カレンダーのイラストを考えている企画があって、会社の人から「川浦さんは和のテイストも合うと思う」と言われたんです。そこでパッと思い浮かんだのが、柴犬が「畳のヘリを踏んではいけません」といっている絵。犬が作法を教えるカレンダーがあったら面白いだろうな、と。これが最初のしばわんことの出会いでした。

───白泉社さんを選ばれたのには、なにか理由があるのですか?

「MOE」で絵を描きたかったんです。当時の「MOE」は憧れの市川里美さんの作品が掲載されているなど、大好きな雑誌でした。そこで、編集者の位頭さんとお会いして。イラストのお仕事をいただく中で、和をテーマにした絵本を作ってみないかと声をかけてもらったんです。

───「和」のテーマは最初から決まっていたんですか?当時としては珍しかったかと思うのですが…。

私が以前描いたカレンダーの柴犬の話を位頭さんにお話して、そのイラストをお見せする約束をしました。せっかくなら「MOE」に載せてもらえる形にしたいと色々考えて、8ページの絵本を作ってお見せしました。それから何回かやり取りをして、徹底的に「和」をテーマにすることが決まったのですが、正直、日本文化の専門家ではなかったので、どうしよう…と不安がありました。

───川浦さんが最初は「和」に詳しくなかったなんて、とっても意外です。

それでもやってみようと思えたきっかけは、同じ時期に始めた茶道でした。茶道には分からない作法がいっぱいあったんです。でも教室ではそれらは常識的なこと、一から教えてくれたりはしはなくて。
私が知らなかった伝統的な作法は、「和」についても通じると思って、知らないなら徹底的に調べて描くしかない! と、歳時記や行事について書かれている物を片っ端から調べることにしました。

───どうやって調べていったのですか?

基本は図書館に行って、関連する資料を集めて読み込みました。調べ始めると民俗学から歴史小説まで、「和」に通じているものが多くて、はまってしまいましたね。ただ、当時、参考となる本はかなり本格的な全集のようなものしかなくて、読んだりまとめたりするのにとても苦労しました。

───今みたいに子どもに向けた和や行事の本はなかったんですね。


あねさん被りのしばわんこは当時から大注目でした。

そうなんです。それでもいろいろ調べる中で、しばわんこの最初のおはなしは、「おもてなし」にしようと決めて。

おもてなしなら、まずはやはり部屋の掃除をするでしょう…それなら格好もきちんとしなきゃ…と考えて、割烹着を着て、姉さんかぶりをしている柴犬の絵が浮かんだんです。
その絵を描きたいと8ページの絵本にまとめたのが、最初の「和のおもてなし」になりました。

───そこで割烹着姿の柴犬の絵が思い浮かぶのが「さすが、川浦さん!」と思ってしまいました(笑)。それからすぐに絵本になることになったのですか?

いえいえ。最初は雑誌の連載ではなく、単発の企画の予定だったんです。ただ、「MOEで仕事がしたい」という思いで描いたものなので、それだけで十分満足でしたから。

(白泉社編集者・位頭:)川浦さんはそうおっしゃっていますが、しばわんこのラフ(下絵)を見せていただいた時点で、「MOE」編集部スタッフはみんなその可愛さにやられてしまって…(笑)。すぐにでも連載をお願いしたいという気持ちでした。

それは読者の方も同様で、しばわんこが誌面に初登場した号の読者アンケートは今までで最多の反応だったんです。しばわんこそっくりのイラストを描いた読者はがきを送ってこられる方がいたりと、大人気でした。


しばわんこの特集が組まれた当時の「MOE」

───読者の方にもしばわんこの可愛さがしっかり伝わったんですね!

(白泉社編集者・位頭:) 「MOE」を見た当時の白泉社の社長が 編集部にやってきて、「すぐに、絵本にしよう!」と興奮して言ったのを覚えています。そうして連載が本格的にスタートして、絵本の単行本も発売する運びになりました。

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川浦 良枝(カワウラヨシエ)

  • 1963年、東京都生まれ。武蔵野美術大学短期大学卒業後、デザイナーとしてカレンダーや文房具などの制作を手がける。2000年よりMOEで「しばわんこの和のこころ」の連載をスタート。2002年、初めての絵本『しばわんこの和のこころ』(白泉社)を出版。新刊に『しばわんこの和の行事えほん』(白泉社)がある。

作品紹介

しばわんこの和の行事えほん
しばわんこの和の行事えほんの試し読みができます!
絵・文:川浦 良枝
出版社:白泉社
しばわんこの和のこころ
しばわんこの和のこころの試し読みができます!
作・絵:川浦 良枝
出版社:白泉社
しばわんこの和のおけいこ
作・絵:川浦 良枝
出版社:白泉社
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しばわんこ 和のお道具箱の試し読みができます!
作・絵:川浦 良枝
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作・絵:川浦 良枝
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作・絵:川浦 良枝
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