───最新作『アブナイおふろやさん』は、ほうかごスペシャルたんけんたいが熱帯の王国「ユポポンタ」を探検する話ですが、2作目の舞台は銭湯なんですね。
実は『アブナイかえりみち』を描いているときから、2作目はお風呂屋さんを舞台にしようと考えていました。1作目が陸上だったので、2作目は水を出したいなと思っていて、男子が水の中でふざけるのは鉄板だなって。
───そんなに早く2作目の構想が生まれていたんですね! 絵本には「寝風呂」や「薬草風呂」、「ジェットバス」などかなり本格的な銭湯が描かれていますよね。
『アブナイおふろやさん』では、実際に銭湯に行きました。でも、調べて実際に銭湯のある場所に行ってみたら、お店が潰れていて、更地になっていたというハプニングもありました…。

───まさかそんなことが起こるなんて…大ハプニングですね!
最近では、多くの銭湯が閉店の危機にあっているそうなんですよ…。気を取り直して、ほかの銭湯を調べて、電話で運営しているか確認してから行きました。そこはすごく老舗のお風呂屋さんで、『あぶないおふろやさん』の外観も参考にさせてもらいました。
───2作目も妄想…というか、男の子がやりそうな行動が満載ですよね。
やっぱり男の子はケロリン(桶)があったら、滑りたいし、ジェットバスでは流されたいし、シャワーでは、修行したい生き物なんですよ(笑)。
───個人的に大好きなのは「毒」の場面。昔ながらの銭湯では、どんな効能なのか分からない独特な色の「薬草湯」があったなと懐かしくなりました。現実では「ラベンダー湯」というギャップもまた面白かったです。
「なに!!」って隊長が言うのも、お気に入りなんです。普通、作っている段階で余計な文字などはなるべくカットしていって、シンプルにしていくんですが、この「なに!!」は絶対残すべき!と譲りませんでした。隊長たるもの、隊員が「これはどくです!!」って言ったら、「なに!!」って返してほしい…願望です(笑)。
───なるほど〜。細かいこだわりですね…(笑)。衣装ももちろん、こだわりがありますよね?

───山本さんの銭湯に対する愛がこれでもか!と伝わってくるのですが、子どもの頃にお風呂屋さんに行った思い出はありますか?
───ジャングル温泉?! まさに『アブナイおふろやさん』の妄想の世界のような温泉ですね。
たぶん、子どもの頃のジャングル温泉のイメージもあって、こういう妄想を描きたいと思ったんでしょうね。
───お風呂のアイディアもたくさん出たんですか?
スケッチの段階では、サウナや電気風呂なんかも入れていました。でも実際に子どもが真似をしてしまうと危ないものはボツにするなど、かなり気を遣いましたね。
───最後に登場する幻の魚人「イセン・セババ」の正体が担任の先生というところも面白かったのですが、怒られているにもかかわらず、解説を続ける5号の姿に感心しました。
ここはみんな意地で妄想を続行しているんですよ。目の前に先生がいて、カンカンに怒っているから、怖いし逃げ出したいんだけど、妄想を終わらせたくなくて小さい声で「まぼろしの ぎょじんが すがたを あらわしたのである!」って言っている、たくましいですよね。騒ぎすぎて、周りの大人に怒られるっていうのも銭湯ならではのイベントだと思って、絶対入れたかった場面です。
───銭湯って、お母さんからしてみると、直接見ることのできない空間なんですよね。『アブナイおふろやさん』を読むと、男子のお風呂での過ごし方が良く分かります。
絵本の中には、編集の中村さんやデザイナーの羽島さんらしき人がいたり…
山本さんの遊び心がチラホラ…。