───一人息子を持つ身として、男子絵本を得意とする山本さんに聞いてみたいのは、「男の子ってなに?」っていうこと。うちの息子も、温泉では全然湯船につかろうとしないですぐ遊んでしまうんですよ…。
まず根本的に、子どもにとって大きいお風呂は遊び場なんです。大人のように疲れていないから温泉で癒されようって気持ちがない。ほうかごスペシャルたんけんたいのメンバーも、めいっぱい遊んじゃってますよね。
───銭湯が遊び場という解釈、すごく納得しました。男子って、きっかけがあるとすぐに妄想の世界に行ってしまうように思うのですが、どんな感じで妄想しているんですか? 現実と妄想を切り替える、スイッチみたいのがあるのでしょうか?

きっかけがあって妄想するというよりも、常に現実と妄想が同時進行で繰り広げられていて、いつでも妄想の世界に行けるのが男子なんだと思います。スキあらば遊びたいと思っているから、掃除の時間も雑巾を見つけたら足で滑りたくなっちゃうし、ほうきを手にしたらチャンバラしたくなる…。妄想も現実も同じ様に持っているのが男子なんです。
───そういわれると、思い当たる節がかなりあります…。そんな男子と接するお母さんとしては、どんな心持でいるのが一番いいと思いますか?
ぼく流のやり方でいえば、例えば朝、子どもを起こすとき、「起きなさ〜い」っていっても子どもはなかなか起きないですよね。でも、飛行機になって「ビューン!」って子どものところに行って、「ミサイル攻撃! ドドドドド…」って布団の上から、体をつつくとノリノリで起きてきます。
───なるほど(笑)! その感覚はパパならではって感じですね。
そういう感覚って、女性はなかなか分からないと思うんですよね。でも、お父さんなら、かつて自分も通った道だから、きっと息子と通じ合える部分があると思います。『アブナイおふろやさん』は、男子ってこういうこと考えているんだよっていう、ガイドブックとして楽しんでもらえたら嬉しいですね。
───山本さん自身も、子育て真っ最中だと思うのですが、お子さんと遊ぶときに絵本を読んだりしていますか?
はい。絵本はいつも寝る前に読んでいるのですが、最近では娘が読み聞かせをしてくれたりします。
───それはすごく嬉しいですね! お子さんに絵本を読むようになって、描くときとは違った発見などはありますか?
まだ娘が赤ちゃんだったころ、赤ちゃん絵本を娘に読んで、リズムや魅せ方の違いに驚いたことがあります。自分が描く作品は、もう少し年齢が高めだったので、赤ちゃんが好きな絵本がどういうものか、全く分かっていなかったんです。でも、実際に娘が絵本に反応している姿を見て、普通の絵本と比べて、言葉のリズムやオノマトペなどのテクニックが必要なんだなと気づきました。
───先ほど1作目の『アブナイかえりみち』を描いているときにはすでに『アブナイおふろやさん』の構想があったと伺いましたが、3作目の構想も、もしかして…?

裏表紙のところに、何かヒントがあるかも…?
───絵本ナビ内でも次の舞台の妄想が広がっていきそうです(笑)。最後に、この「ほうかごスペシャルたんけんたい」シリーズを、読者の方にどういう風に楽しんでもらいたいですか?
メンバーになりきってもらって、絵本がボロボロになるまで楽しんでもらえたら嬉しいです。男の子はこの絵本に描かれているよりももっとすごいことを現実世界で妄想していると思うので。お母さんにとっての男の子ガイドブックとして手に取っていただき、お父さんには、子どもの頃体験した、懐かしの男子妄想絵本として楽しんでもらえたら嬉しいです。
───お父さんが子どもと同じくらい共感してくれる作品ですよね。
父親は男の子の、バカの先輩ですからね!

───3作目でほうかごスペシャルたんけんたいがどんな冒険をするのか、楽しみに待っています。今日は本当にありがとうございました。