───昨年、少女マンガの編集部から「MOVE」スタッフに加入し新メンバーとなった成清久美子さん。「星と星座」ははじめて最初から最後まで編集されたとか。どんなところを意識して作られましたか?

森定さんとのコンビも二年目、「MOVE」編集者・成清さんニュースで取り上げられる天体ショーや、季節の星座について知りたいと思ったとき、この一冊でくわしく知ることができる構成を心がけました。
夏に必ず話題になる「流星群」や、「日食と月食」「彗星」など、写真を大きくつかって解説しています。ここは「MOVE」の「宇宙」よりもページを割いてわかりやすく書かれているくらいです。星に興味をもちはじめたお子さんへの最初の一冊としておすすめです。

今年の夏もまた「ペルセウス座流星群」のシーズンがやってきます!
もうひとつ意識したのは、実際に子どもたちが星空観察につかいやすい図鑑にすることです。
季節によって見える星がわかる「全天星座図」に加え、星の探し方、星座の見つけ方を解説しています。
じつは、星と星をどのように結んで星座をつくるのかについては、だいたいの形はあるものの、国際的に統一された規範はないそうなんです。私もはじめて知ってびっくりしたのですが。
では実際どの星と星を結んで図版にしたらよいか、見つけやすさわかりやすさを追求して、天文宇宙関係のイラストや写真を多く手がける沼澤茂美さんの力をお借りしました。
とはいえ、図鑑のなかでは形を統一しないといけないですし、夜空の星はたくさんあるので、確認作業が大変でした(笑)。

地球から見ることのできる88個の星座すべてを、五十音順に表記した「星座一覧」。
また、「天体を見てみよう」の青いマークでは、望遠鏡や肉眼マークによって、どの方法で観測できるかを記しています。

「M80」アンタレスさそり座近くにある球状星団には
望遠鏡マーク。
「M45」プレアデス星団(すばる)は肉眼マーク。
───さっそく星空を観察してみよう!という気持ちになります。付属の星座早見盤がうれしいですね。
稚内(45°)、青森(40°)、東京(35°)、屋久島(30°)と緯度が記されていますが……。

星座早見盤アップ
付録の星座早見盤。目盛と方角をあわせて、
空を見上げてみよう!
日本列島は南北に長いので、緯度の異なる地点で空を見上げると、見える星空がちがうのです。
星座や星の位置は、春夏秋冬だけでなく、いまいる位置や時刻によっても変わります。星の位置を知るには、こちらの星座早見盤を使うのがいちばんです。正しい使い方を覚えてぜひ実際に星を探してみてくださいね。
───今回、ギリシャ神話をはじめ、世界各国の星にまつわるお話を読むのも楽しかったです。
個人的には神話のイラストの迫力にやられました(笑)。ギリシャ神話の英雄ヘラクレスと、怪物ヒドラの対決のシーンはすごいですよね。
神話のイラストはすべて描きおろしで、小林系さんと藤田香さんに描いていただきました。
小林系さんは『ギリシア神話 オリンポスの神々』(青い鳥文庫)の絵を描いてくださっています。
藤田香さんも『黒魔女さんが通る!!』(青い鳥文庫)の絵で活躍されています。
小林さんの絵は、神秘的でほんとうに美しいです。藤田さんの絵も、愛らしい神々の絵がとても魅力的ですが、怪物とのギャップがすごいですね。じつは爬虫類がお好きだそうで、怪物ヒドラ(毒蛇)のウロコやキバがリアルで……(笑)。
ラフからずっと見ていたのですが、完成した本描きの絵を見たときは、あまりの迫力に私もびっくりしました(笑)。でも思い切りよく描いていただけたおかげで、存在感たっぷりの「星と星座」になったと思います。
写真だけでなくイラストも「MOVEらしさ」を追求して、あえてインパクトのあるイラストを選んでいます。

小林系さんの絵、七夕物語

藤田香さんの絵、ギリシャ神話の神がみ。

藤田香さんの絵、英雄ヘラクレスと怪獣ヒドラ
───おなじみの付属DVDはNHKのスペシャル映像60分。見どころを教えてください!
天体現象のしくみがよくわかる映像を集めました。天の川をはさんで輝くベガ(織姫)とアルタイル(彦星)や、星座にも四季があることなど、さっそくこの夏から映像を見て実感できるかもしれません。
また「星空ふしぎウォッチング」のコーナーでは、インパクト抜群のCG映像とともに、2013年にロシアに落ちた巨大隕石や、同じく2013年に騒がれたアイソン彗星の謎といったニュースの裏側がわかります。図鑑とあわせて楽しんでくださいね。

みなさんそろって…記念にぱちり。───ありがとうございました!まったく違う魅力の2冊「鉄道」と「星と星座」。どちらを読んでも、この夏、あたらしい魅力を発見するわくわく感に満ちていて、親子でハマりそう! 「3歳から大人まで」がコンセプトの「動く図鑑MOVE」。毎回おどろきを与えてくれる図鑑シリーズは計13冊となりました。森定さんの夢である「古代文明」はまだ先のようですが、これからも楽しみにしています。


冒頭16ページのカラーグラビアも図鑑「動物」に
負けない充実ぶり。 
「サル」なのに「キツネ」? ヨガのポーズで日光浴?

恐竜はいったいどこで誕生したの? 恐竜も子育てした? 漫画でわかる恐竜のひみつ。博士と子どもたちがタイムマシンで案内!

冒頭グラビアは、空をとぶ草原のハンター、バッタ。かっこいい!

「MOVE」の基本コンセプトである「おどろきが好奇心を刺激する」「おどろきが興味につながる」はそのままに、雑誌スタイルで、最新の情報をお届け!

講談社の動く図鑑MOVE 特別号映画「ジュラシックワールド」特集/2015年幕張メッセ「メガ恐竜博」特集/恐竜学の最新発見!/
最新恐竜カタログ/さかなクンと水族館に行こう!/夏の空を見上げて星座をさがそう!/
MOVEサイエンスニュース×10/学習漫画「恐竜のふしぎ 帆のある恐竜」
……などなど、速報性とおもしろさを両立させたもりだくさんな内容。ARで「MOVE」のPV動画もついていますよ。
こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

インタビュー:竹原雅子(絵本ナビ編集部)
文・構成:大和田佳世(絵本ナビライター)
撮影:所靖子