絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  お豆を食べたら、足がにょきにょき伸びてきた!『あしにょきにょき』『あしにょきにょきにょき』 深見春夫さんインタビュー

『あしにょきにょきにょき』35年ぶりの続編で思うこと。

あしにょきにょきにょき
あしにょきにょきにょきの試し読みができます!
作・絵:深見 春夫
出版社:岩崎書店

1980年に刊行されたロングセラー絵本『あし にょきにょき』、35年ぶりとなる続編です!空から落ちてきた豆を食べると、ポコおじさんの足がにょきにょきのびていきました。森をぬけ、街にでると、なんとむこうからべつの足が…。あのナンセンス絵本が、パワーアップして帰ってきました!

───続編『あしにょきにょきにょき』は『あしにょきにょき』から実に35年たって生まれました。どういう経緯でこの作品は生まれたのですか?

編集者さんから提案いただいたことがきっかけです。ぼく自身は続編ができるとは全く思っていなかったんですけど、熱心にお話いただいて、やってみようかと。

───続編を描くにあたって、前作との違いに悩んだことなどはありますか?

おはなしはもう足を「にょきにょき」するしかありませんから、そこは前作を踏襲して、くすぐるのも一緒、オチも一緒、ぬけぬけと開き直ってやりました(笑)。悩んだところと言ったら、画風でしょうか。35年前と同じ絵はどうしても描けませんでした。

───確かに、ポコおじさんも可愛くなっていますよね。『あしにょきにょき』では緑の男が「そらまめ」を持ってきますが、今回はポコおじさんの家の庭に豆が落ちてきます。そして、それをふしぎに思わず調理して食べるという、前作よりユニークな展開になっているように感じました。

『あしにょきにょき』のときはまだ、ナンセンスマンガの影響を受けていて、展開を複雑にしようとしていたのだと思います。35年絵本を作り続けてきて、豆を手にするまでの流れも絵本らしく、シンプルに描けるようになりました。

───そうして、前作同様に足が「にょきにょき」伸びていくポコおじさん。前作と比べながら見ていくと、林をぬけるところは同じだけれど、橋の場面が、新幹線になっていたり。町の中を入っていくところも、続編では車に当たらないように避けながら伸びていっています。同じところと変わっているところが絶妙に混ざり合っていて、とても楽しかったです。

『あしにょきにょき』のころは、まだ絵本作家になりたてだったので、家の壁を突き破って、車をなぎ倒しながら進んでいっても、特に何も感じなかったのですが、今はそういう描写を残酷だと感じるようになりました。なので、なるべく破壊的に映る行動は控えて、優しい足になるようにしたんです。

───町の中を進んでいく場面も、前作よりうねうねと町中を移動している様子が描かれていますね。

この場面は編集者さんからの要望もあり、屋上庭園を描いたり、街並みをより今風にして、足もいろいろな場所をめぐっているようにしました。

───そして、『あしにょきにょきにょき』の一番の見どころ、別の足がやってくる場面。ここから、どうなるんだろう、あの足の持ち主もやっぱり豆を食べたのかしら……と、一気にいろいろな想像が膨らみました。

別の足が出てくるのも、編集者さんと話して決めたアイディアなんです。最初は「鼻」が出てくるのはどうかと提案されたのですが、それならやっぱり「別の足」だろうと。ただ、ポコおじさんの足と変化をつけるために、町を破壊しながら進んできた、悪い足にしました。

───ポコおじさんの足と、悪い足がぶつかって、「おしくらまんじゅう」をしたり、つねりあったりする場面。手に汗握る展開なのですが、両方の足の裏が、顔に見えてきて、なんだかとてもほのぼのした感じがしました。

この場面は前作にはないアクションシーンですからね、でも人同士が戦うのではなく足同士の戦いですから、足でどんな攻撃ができるか、どんな動きになるのか考えながら描きました。決め技はやっぱり「くすぐり」。どうやって決着がついたかは、ぜひ絵本を見て楽しんでほしいです。

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深見 春夫(ふかみはるお)

  • 1937年、東京生まれ。絵本、挿絵を中心に活躍中。主な作品に『せかいいちのぼうし』『劇団どうぶつ座旗揚げ公演 パンダのぱんや』『劇団どうぶつ座 第二回公演 王様はどなた?』『じぶんでおしりをふけるかな』『にがいおくするのめるかな』(共に岩崎書店)、『そらとぶパン』『くもきちせんせい』『しりとりのくに』(共にPHP研究所)、『チョコレートのまち』『へんてこマンション』(共に佼成出版)などがある。

作品紹介

あしにょきにょき
あしにょきにょきの試し読みができます!
作:深見 春夫
出版社:岩崎書店
あしにょきにょきにょき
あしにょきにょきにょきの試し読みができます!
作・絵:深見 春夫
出版社:岩崎書店
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