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シェフがお客で、お客がシェフで?! 中毒性がクセになる!『へんてこレストラン』 古内ヨシさん 竹内通雅さんインタビュー

「もしも こんな レストランが あったら どうですか?」という気になる書き出しではじまる『へんてこレストラン』(絵本塾出版)。ページをめくると、「カバのだいすきな カレーのレストラン」や「ナマケモノの レストラン」、果ては「うちゅうじんの レストラン」など、なんとも奇妙なレストランが次々と登場します。このへんてこなレストランばかりが登場する絵本を生み出した、古内ヨシさん、竹内通雅さんにお話を伺いました。なんと、お二人はインタビュー日に初対面だったのだそう! お互いワクワクドキドキしながらの対談をお楽しみください。

へんてこレストラン
へんてこレストランの試し読みができます!
文:古内 ヨシ
絵:竹内 通雅
出版社:絵本塾出版

シェフがお客で、お客がシェフで。 カバのシェフは、カレーがだいすき。 へんてこなレストランのシェフたちには、それぞれ、おきにいりのレストランがあるのです。 最後までよんだら、表紙に戻って最初からどうぞ!

1日1個のアイディア出しから生まれた『へんてこレストラン』。

───『へんてこレストラン』に出てくるのは、お客さんの口の中にカレーをいっぱい詰め込んだり、肉も魚もすべて生の状態で出てきたりと、本当にへんてこなレストランばかり。この果てしない想像力はどこまで広がるんだろう……と、楽しく思いながらページをめくりました。こんなおかしなレストランを、古内ヨシさんはどうやって考えたのですか?

古内:最初に『へんてこレストラン』って題名が思い浮かんで、とにかくへんなものをいっぱい集めたレストランを作りたいなと思ったんです。それで、1日1個考えるようにして、自分の中でへんてこなレストランとはどういうものか、いろいろアイディアを出していきました。

───絵本に登場したレストラン以外にも、いろいろなレストランがあったのですか?

古内:そうですね。どうしてこんなにたくさんの「へんてこレストラン」のアイディアを出したかというと、ぼくにとって、いま、何が一番大事かを考えたとき、へんなことをいっぱい考えることだと思ったんです。


文章を担当した古内ヨシさん。

───へんなことを考える……ですか?

古内:ふつうの人は、へんなことなんて敬遠したり、考えないようにしがちですよね。でも、創作するということは、積極的にへんなことを考えて、生活の中にもいっぱいへんなことを持ち込んでいくことだと思っています。そうやってへんなことに満たされると、自分も変わるし、周りも変わる。そういうことをいま、子どもたちに知ってほしくて、へんてこなレストランがいっぱい出てくるこの絵本を作りました。

───1日1個、へんなレストランを考えたそうですが、アイディアはたくさん生まれたのですか?

古内:それが、なかなか……(苦笑)。大人はどうしても常識的に考えてしまうから、あっと驚くようなおもしろい「へんてこレストラン」なんて、そうそう生まれません。最初に思いついたのは、「カミナリさまの レストラン」だったかな? カミナリを落とされるレストランなんて、絶対に行きたくないじゃないですか(笑)。そうやって、「こんなレストランがあったら大変だ〜」と思うアイディアを何とかひねり出しました。


原画を見せていただきました。

───竹内さんは、古内さんから文章を受け取ったとき、どう思いましたか?

竹内:もともと、古内さんはご自分で絵も文章も描くことのできる絵本作家さんですから、最初に編集のかたから絵を依頼されたときは、ビックリしました。でも、おはなしをいただいて、へんてこなレストランばかりが出てきたので、「これはへんてこだけど、おもしろいぞ……」と思いました。実際に描こうとすると、想像以上に難しかったんですけどね(苦笑)。

───どんなところが難しいと思ったのですか?

古内:私が最初に書いた原稿は、何かしらつながりのあるひとつづきのレストランの話ではなく、ページをめくるごとに、いろいろな「へんてこレストラン」が順不同で登場する作品でした。それを、通雅さんが構成しなおして、こんなにすばらしいひとつづきの物語に仕上げてくれたんです。

竹内:原稿を拝見したときからおもしろいおはなしだと思いました。でも、古内さんはこれまでたくさんの絵本を発表している先輩なので、先輩をうならせるためには、そのまま絵にしたのではダメだぞと思ったんですよね。そこで、この個性的な「へんてこレストラン」には、絶対に何かつながりがあるはずだと、祈るような気持ちで、一度順番をバラバラにして、そこから新たに15場面を構成しなおしました。


構成と絵を担当した竹内通雅さん。

───レストランの特徴はそのままに、順番を変えることで、物語性を強めようと思ったのですね。

竹内:そうです。各ページに登場する動物や、食べ物などをメモに書いて、それをテーブルの上に並べて、あーでもない、こーでもない。こっちを入れ替えたり、あっちを持ってきたりと、並べ替えていました。そのうち、誰か狂言回しのように、作品通して登場するキャラクターを作ればいいということを思いつき、「これなら何とかなりそうだぞ」と胸をなでおろしました。

───狂言回し、つまり全体をまとめるキャラクターを、カバにしたのはどうしてですか?

竹内:「カバのだいすきな カレーのレストラン」の絵がパッと浮かんだんです。これを最初に描いたら、絶対にインパクトがあるぞって。それから、前のページでレストランのスタッフとして出ているキャラクターが、次のページではお客になっている、という設定を思いついて。そこではじめて、バラバラな15場面の「へんてこレストラン」がカチッとひとつにまとまりました。

───口からあふれんばかりにカレーを注がれるカバの絵は迫力満点ですね。動物たちを順につなげる発想はどうやって整理していったのですか?

竹内:例えば、「カバのだいすきな カレーのレストラン」を考えたとき、お客はカバで決まりだけれど、料理人の動物を決めなければいけない。カバの口にカレーをいっぱい押しこむんだから、けっこう乱暴な性格かもしれないと思うわけです。そうすると、どうもうな肉食系の動物がいいですよね。「こぶたの けんこうてきなレストラン」のテキストには、ライオンやオオカミがお客として登場しています。じゃあ、カバがカレーを食べるレストランのシェフをライオンやオオカミにして、次のページのこぶたのレストランでは、そいつらがお客として現れればいい……という風に考えていきました。

───なるほど! とても想像力が鍛えられそうです。

竹内:全部がつながって1冊の流れがまとまった後は、さすがに疲れきってしまって、原画の完成までモチベーションを保ち続けるのが大変でした(笑)。

───古内さんはどのタイミングで、竹内さんの絵をご覧になったのですか?

古内:ぼくは通雅さんがラフを描き上げた後、拝見しました。

───最初に書いた原稿と、構成が大きく変わったわけですが、いかがでしたか?

古内:編集者さんからも「すごいことになりましたよ」と言われたのですが、ただただありがたかったですね。

竹内:ふつう、自分が考えた物語と大きく変わっていたら、怒るじゃないですか。でも、なんとなく古内さんは怒らないだろうという、願いにも似た予感がありました。案の定、とても喜んでいただき、ほっと胸をなでおろしたのを覚えています。

古内:いやもう、すべて教えを乞うつもりでやっています(笑)。

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古内ヨシ(フルウチヨシ)

  • 1952年愛知県生まれ。絵本作家。子どものころから絵を描きつづける。色が重なってどろどろになっても描きつづける。10歳で油絵をはじめ、15歳で洋画家・白浜禎吉氏に師事。イラストレーターをへて、40代で絵本の世界へ。主な絵本の作品に、『おばけのムニムニ』(あかね書房)、『ともがき』『子ぐものいのり』(文・久留島武彦/幻冬舎ルネッサンス)、『ながーいでんしゃ』(至光社)、『すごいサーカス』『オナラせんせい』(絵本館)、『つきよのニャロベエ』(論創社)、『ウシくんにのって』(絵本塾出版)など多数。

竹内通雅(タケウチツウガ)

  • 1957年長野県生まれ。創形美術学校版画科卒。雑誌『イラストレーション』のコンペで第3回「ザ・チョイス年度賞」大賞受賞。39歳でイラストレーターから絵本作家へ。主な絵本の作品に、『走れメロス』(作・太宰治/ほるぷ出版)、『月夜のでんしんばしら』(作・宮沢賢治/三起商工)、『おどるカツオブシ』(文・森絵都/金の星社)、『じごくのさたもうでしだい』(文・もとしたいづみ/ひかりのくに)、『ぐるぐるぐるぽん』(文・加藤志異/文溪堂)、『ぶきゃぶきゃぶー』(文・内田麟太郎/絵本館)など多数。

作品紹介

へんてこレストラン
へんてこレストランの試し読みができます!
文:古内 ヨシ
絵:竹内 通雅
出版社:絵本塾出版
全ページためしよみ
年齢別絵本セット