はじめて おんがくを きいた ねずみの はなし。ねずみのジェラルディンが大きなチーズを見付け、美味しいので友達を集めチーズを噛み取ってあげました。するとチーズからねずみの形が現れ、その唇にフルートが・・・

うちの娘が好きな作品なんです。以前、『幸せの絵本 〜家族の絆編〜』でセレクトする絵本を悩んでいたとき、娘に「レオ・レオニ作品でどれが好き?」と聞いたんです。僕自身は『アレクサンダとぜんまいねずみ』を選ぼうかと思っていたんですが、娘に「私ならジェラルディン!」って言われて、え?って思ったんです。「どうして?」って聞いたら、「だって、チーズの中から音楽が出てくるんだよ!」と熱弁してくれたのですが、僕には良く分からなくて…。娘は音楽を習っていたこともあって、この作品に深く共感したんだと思います。
───レオ・レオニ自身も趣味としてアコーディオンやフラメンコ・ギターを演奏していたそうなので、音楽という点で娘さんとフィーリングがあったんですね。
───これはレオ・レオニ作品の中でも珍しい、縦長の絵本ですよね。この絵本にはどのような思い出がありますか?

娘と2人で一番沢山読んだ絵本なんです。主人公が木なんですよ。しかも言葉を話す!それだけで魅力がグッと増しますよね。娘のお気に入りページは5月の花が咲いている場面と9月の実りの場面。そして、8月のおやすみの月。8月は今まで出ていたねずみが2匹とも登場せず、木のウッディだけなんです。「そんなのもありなんだー!」と。レオ・レオニの遊び心にやられた!と思いますね。
───レオ・レオニ作品の中で一番沢山読んだ絵本ということですが、カナガキさんはどんなときに娘さんと絵本を読むんですか?
うちは夜寝る前以外にも、日常のいろんな場面で絵本を読みました。でも、『いろいろ1ねん』は、寝る前に持ってくることが一番多かった絵本ですね。1月に出会って、春が来て、花が咲き、実がなり、葉が落ちて、冬が来る。12月になって「もうすぐ また、あたらしい 1ねんが、はじまる」というラストの一文を読むとふっと落ち着く。当時の娘にとってリラックスできる絵本だったんだと思います。


