もうサンタなんか信じていないジュリアン。でも、今年もプレゼントをお願いする手紙を書いてお母さんに渡し、クリスマスの朝、希望通りの高価なゲームをもらいました。ところが、クリスマスツリーの下にもう一つ、お母さんたちも知らないプレゼントがあって…? 子どもたちの心によりそって丁寧に描いた、心に残るクリスマスのお話。
ジュリアンは毎年クリスマスが近づくとサンタクロースにプレゼントをお願いする手紙を書きます。
本当はサンタを信じていないのですが、両親をガッカリさせないように、今年も書いてお母さんに渡しました。
クリスマスの朝、ツリーの下には希望通りの高価なゲームがありました。
ところが、もう一つ両親も覚えのない箱がありました。
中には、木でできた蒸気機関車のおもちゃが。
ジュリアンの年齢には不釣合いなおもちゃに、おとうさんは「サンタクロースの落し物だ。落し物だからお前のものになるのは、1年と1日たっても落とし主が現れなかったときだけだ」といいます。
この機関車にジュリエットという名をつけて、ゲーム機にも目もくれず、夢中になっていくジュリアン。
「幼心」の最後のともし火がゆらゆらしているような光景です。
そして、またクリスマスが近づき、もう大きいからサンタクロースが来ないと思っていたジュリアンに、サンタクロースへの手紙を「まだ、書いてもいいのよ。これが最後だけど」とおかあさん。
クリスマスが来るという事は、蒸気機関車のジュリエットを返さなくちゃならない日でもあるのです。
そこで、ジュリアンはサンタさんへもう一通の手紙を書きました。
ラストのなんともいわれぬ幸福感をこどもたちが感じ取れたらいいな〜、と思います。
時に畏れ多く時に包容力のある優しさと愛に溢れた、目に見えないものの存在を信じ続けて大人になって行って欲しいなぁ〜。
ジュリアンと同じ年頃の、サンタさんを信じなくなってしまっている
子どもたちに薦めたい、素敵な作品でした。
ロアルド・ダールさんの作品の挿絵でお馴染みのクェンティン・ブレイクさんの絵がとっても良かった。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子12歳)
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