赤いお家が見えます。
赤いマフラーと毛糸の帽子をかぶった、メガネの男の子と茶色の犬と・・・かめ。
あたりは閉ざされた茶色の世界。
木は葉を落とし、草は枯れ、地面はまだ眠ってる。
男の子は、くだものや野菜の種をまきます。
晴れの日も雨の日も、あたりはまだ茶色。
まだまだ、まだまだ茶色。
でも、土に耳をあてたら、緑っぽくなってきてる気がする。
男の子は待ちます。一週間、また一週間、それからまた一週間。
種の芽はいつでるのかな。
種の根はどこまでのびているのかな。
待っている間にも土の中ではたくさんの生命が芽生えています。
さて、時間をたっぷりかけて待ったあとは・・・。
これだけ「春」がくるのを待ち遠しく感じられる絵本はないかもしれません。
男の子と一緒になって、緑の世界がやってくるのを
絵本のページをめくりながら待つ。
時間がゆっくりと流れる。
静かに目をつむって耳をすますと土の中から緑の「一生懸命」が聴こえてくるよう。
男の子が動物たちと一緒に待っているこの時間が長ければ長いほど、
最後のページをめくる楽しみが高まっていきます。
『クジラにあいたいときは』でタッグを組んだエリン・E・ステッドさんと
ジュリー・フォリアーノさんが生み出した二作目は「待つ楽しみ」を教えてくれる美しい絵本。
春が待ち遠しい季節にぴったりの1冊です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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2014年6月刊行の『クジラにあいたいときは』(原題:If you want to see a whale)に続く、コルデコット賞受賞作家エリン・E・ステッドとジュリー・フォリアーノによる絵本第二弾。
原題は"And then its spring"で、アメリカで2012年に刊行。ワシントンポストやウォールストリートジャーナルで紹介され、数々のランキングやブックリストに登場。ベストセラーとなっています。
まだ雪が一面に残るある冬の日、一人の少年と、彼の犬は、雪が溶けて茶色の地面が顔を出したとき、種をまくことを決めました。
地面に穴を掘って、種を埋めると、じっくりじっくり待ちました。鳥が地面を掘り起こしませんように。雨が降りますようにと。1週間待って、さらに1週間。そして春が来ると……。
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