学校で生きづらさを感じている米利と昼間くんの物語。
一つ一つは小さなこと、「いじめ」という言葉では言い表せない出来事。それらが校内、教室に漂い渦巻いています。子どもたちはそれらに絡めとられまいと、他の子と仲の良さを確かめ合ったり、周りを見回したりして日々過ごしています。正直すぎたり、うまく立ち回れなかったり、そんなことはなくても、ちょっとしたきっかけで、いつ誰が、絡めとられてしまうかわからない・・・そんな学校の中が描かれていました。
おそらく、この物語を読んだ誰もが、その閉塞感がわかる、もしくは想像できるのではないでしょうか。そして、学校の中の人間模様は複雑で、こうすれば良いという正解はありません。「先生がいくら正しいお話をしても、きっとスライム的いじめは なくならない」と米利も考えています。
ただ、昼間くんが気づいた「ひとりじゃない」「つながっている」ということが、彼らがこれから前に進んでいくための、ささやかな、でも確実な力になるのだと思いました。小さな手がかりを携えて、彼らはまた、学校へ行きます。今すぐ事態を大きく変えることはできないけれど、進む道はあることを、示してくれた物語だと思います。