すばらしいドラマです。これまで☆5つをつけてきた本と同列に置くのはあまりにもったいないという気がします。
文化人類学者だという作者の、自然への壮大な想いが見事に表現されていると思います。大地が生命を育む。それはどちらかの一方的な働きかけではなく、たがいに「いとおしむ」という相互の「想い」があって初めて生まれる営みだということ。
その「想い」が何十代、何百代も小鳥に受け継がれ、岩山を見放すことなく見守り続けます。そしてあるとき、岩山の中に、本当に草木をいとおしむ心が生まれたとき、小鳥にずっといてほしいという岩山の「想い」がかなう。
自然というものは、とてつもない長い年月を受け継いでいくことで営まれてきていて、私たち人間にもつながっている。
物語を「友情」「愛」など、人間の心のレベルに置き換えることも不可能ではありません。ですが私としては、そうではなくて、この壮大さをそのままに子どもに伝えたいと思いました。