
iPhoneなどのスマートフォンや、iPadなどのタブレットPCの普及で注目を集めている「絵本アプリ」。
絵本ナビでも「デジタル絵本」コーナーを設けて、次々と生み出される作品の紹介を行っています。
絵本のアプリとはどんなものなのか?どんな人がどんな考えで作っているのか?今後どんなものが出てくるのか?
いち早く新しい時代の幕開けに注目し、絵本アプリを世に出してきた先駆者、NEXTBOOKの原田社長にお話しを伺いました。
●長年たずさわった子ども向け出版の世界から、新しい時代の新しい表現の世界へ。
─── 原田社長はもともとは出版社で編集をされていたそうですね。
はい、大学を卒業して、学研に入社しました。
当時は科学雑誌『Newton(ニュートン)』が創刊された頃で、地学を専攻していたこともあって、この雑誌を通じて雑誌の編集に興味を持ちました。
入社後は、営業を経て「学習と科学(※1)」の『科学』の編集を12〜13年ほどやっていました。
この時代はパソコンが徐々に普及してきた時期で、Apple社のマッキントッシュが登場したのもこの頃です。
実は「電子書籍」という概念は当時からすでにあって、学研でも1990年代前半からデジタルコンテンツを制作してCD-ROMで販売したり、その後オンラインショップを開いて通販を行ったりと、様々な試みを行い、私もそれに携わってきました。
子ども向けの教育誌の編集→デジタルコンテンツ制作→ネット通販→事業計画など経営に関わる仕事まで、学研で経験しました。
─── 学研の『学習』『科学』は、僕も子どもの頃お世話になりました(笑! その後、NEXTBOOK社を創業されるわけですね。
2009年に学研を退職したのですが、この年はアメリカで電子書籍関連のトピックが次々と生まれた年でした。
クリスマス商戦ではAmazon.comの電子書籍端末「キンドル」が人気を博していましたし、Apple社が「電子書籍端末を出すらしい」という噂も流れました。
これがタブレットPC「iPad」だったわけですが、Appleがそういうものを出すのであれば、「iPod」で音楽ダウンロード販売の市場が作られたように、新たな市場が出来るはず、そしてその流れは必ず日本にも来るはず、と考えたのです。
翌年2010年1月に、スティーブ・ジョブズが世界に向けて「iPad」を発表します。
この「iPad」向けに、前職で縁のあった中山(専務取締役COO中山真樹氏)、そして中山と縁のあった長田(代表取締役会長CEO長田賢一郎氏)とともにコンテンツの制作を始めました。
そしてこの年の7月に、NEXTBOOK社を創業したのです。
─── 子ども向けアプリに注目されたのはなぜでしょう。
ひとつは、新しい端末の新しい表現の世界は、大人よりも子ども達の方が違和感なく楽しめるのではないかと考えたのです。
大人はどうしても理屈で物事を考え勝ちですが、子どもは新しい表現を受け入れる素地があって、iPadを直感で操作して楽しみますからね。
もうひとつはビジネス上の理由で、小説など活字系の本は、電子書籍になったとしても既存の大手出版社さんが強いだろう、それよりもiPadという新しい端末に合った新しい表現の世界の方が、小回りのきくベンチャー企業にとってはむしろ有利で可能性が大きいのではないかと考えたのです。
「絵本」はある意味象徴的な存在ですよね。紙の絵本をそのままデジタルするのではなく、新しい端末の特性を活かして「誰もやったことのない新しい表現の世界」を実現することができます。ただ、電子絵本というのは、絵が全く動かない「紙の絵本そのものの静止画」から、絵が全部動く「まんが日本昔話」のような「動画・アニメ・DVD」まで、どんな表現手段もとることができるのですが、では実際に「電子絵本」としてはどんなやり方がよいのかは、まだ誰にも正解が分からない。そんな中でいろいろと悩みつつもアプリを開発しています。
─── NEXTBOOK社のコンセプト「For Global Children Interactive Not Game」は、とてもシンプルでいいですね。このコンセプトについて教えてください。
まず「For Global Children 」。
iPad向けのアプリは、Apple社のAppStoreで世界中から購入することができますから、最初から世界中の子ども達に楽しんでもらうことを想定しています。
特に途上国等で、今は紙の絵本があまり一般的でない国にも今後デジタルが普及して、絵本といえばデジタル、という国が出てくるかもしれません。
次に「Interactive」。
一方通行の情報伝達ではなく、何かをすれば反応が返ってくる面白さが、新しい端末の新しい表現の特徴です。
そして「Not Game」。
ゲームは刺激が強くて楽しいので、子ども達がゲームを好きなのは当たり前なんですね。紙の世界出身の私としては、ゲームではなくて、紙の書籍のいいところを引き継いだアプリにしたい。
これがNEXTBOOKのチャレンジです。







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