
チンパンジーとならんで、ヒトにもっとも近いといわれる類人猿、ボノボ。ヒトが祖先から受け継いだ攻撃性が、チンパンジーにあらわれているとすれば、平和主義、共感能力の高さはこのボノボによくあらわれている。心優しき隣人を、つぶさに見つめたノンフィクション。

アフリカにすむチンパンジーに似た類人猿「ボノボ」の性質や、現地でのくらし、地元の人間たちとの関り、社会情勢や環境問題などを書いた本。
2008年刊行。アメリカで出版されたボノボの本を翻訳・出版する経験をした筆者は、ボノボの面白さをテレビ番組に売りこみ、更に多くの人に知ってもらうために、自分で本を書いた。
揉め事を性行動で解決すること、他の類人猿と違った穏やかな性質、女性のボノボは自分が生まれた群れから出て別の群れで暮らす…など、ユニークな性資がいろいろ紹介されている。
また、3人の女性の動物研究者たちの活動や、ボノボの保護の取り組み、現地の様々な問題なども書かれてあり、単に1種類の珍しい猿の紹介にとどまらない広いテーマを扱う。
本書を読んでいると、人はどのように生きたらよいのか考えさせられる。環境や野生動物の保護と、人々の暮らしが対立せずに、お互いに適切な距離や関係を持ちつつ暮らしていけるようになるには、どうするのがベストだろうか?
読み応えのある本なので、年齢問わずに読んでもらいたい。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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