ある「もくようび」のこと。うさぎくんが家でおやつを食べようとしていると、ドアのところですごい音がしました。ドアの外にいたのは、なんと、どろだらけのもじゃもじゃのかたまり。ホースの水で洗ってあげると、出てきたのは仲良しのくまくんでした。森の中でどろんこの穴に落っこちてしまったというくまくんは、うさぎくんに「きょうはなんようびだっけ?」とたずねます。聞けば、大切な帽子を川に落っことしたり、大きなたんこぶができたりと、嫌なことが起こるのはいつも「もくようび」だというくまくん。しょんぼりしているくまくんを見てうさぎくんはいいことを思いつきます。
この「くもようび」というお話をはじめとして、熱で学校をお休みしているくまくんに、うさぎくんがくまくんの好きなあるものをお見舞いに届けてあげるお話、くまくんがうさぎくんになって、うさぎくんがくまくんになるというとりかえっこをして相手の身になってみるお話、ふと出会った美しい景色やきれいなものを相手にも見せてあげたいと思いあうお話など、ともだちを思う優しさにあふれたお話が4つ入っています。
子どもたちが成長していく中で出会う、自分と違ういろいろな性格のともだち。でも違うからこそきっと面白いし、発見がたくさんあるものですよね。のんびりやのくまくんと、げんきなうさぎくんも、性格や苦手なものが違ってもとっても仲良し。一緒に遊んでいるときはもちろん、会っていないときもお互いのことを思いあっているところにぐっときます。時には勘違いからケンカしてしまうこともあるけれど、でもちゃんと話せば大丈夫!ともだちとの日常の中にあるひとコマを優しく描くさえぐさひろこさんと、おぐらひろかずさんの明るい色彩とほのぼのとしたタッチの絵が、子どもたちを温かく応援してくれているようです。
これから小学校へ入学する子どもたちと、小学校低学年の子どもたちへ。ともだちの良さにたくさん気づくことができますように。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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