ブルドックかあさんが、庭で元気よく走り回っている子どもたちを見ています。
子どもたちの名は、ブルドックかあさんにそれぞれどこか似ている、ロッキー、リッキー、ブルーノ。
そして似ていないアントワネット。
かあさんにとっては(どのおかあさんもそうですが)、どの子もだいじで、どの子もとくべつ。
ロッキーはかしこい、リッキーは走るのが得意、ブルーノは力もち。
でもアントワネットはお兄ちゃんたちとちがって何が得意かわかりません。
ブルドックかあさん一家は、プードルかあさん一家となかよし。
中でもアントワネットは、ガストンとなかよしです。
ガストンも、プードルかあさんの子どものなかで1人だけ感じが違うんです。
(じつはアントワネットとガストンは、かつてそれぞれの家でとりかえっこされたことがあるんです! 気になる方は『ガストン』を読んでみてくださいね。)
あるとき公園で遊んでいるうちにプードルかあさんの子、ウッラッラーがいなくなってしまいました。
みんなで探しますが見つかりません。
そのとき、「こころがハッとしてはながピクピクッ」としたアントワネット。
においを手がかりにどんどん走っていって……!?
全米でベストブックに選ばれた絵本『ガストン』の姉妹編。
他のきょうだいとちょっぴりちがうアントワネットが得意なことを見つけて、立派に成長する姿を描きます。
ケリー・ディプッチオさんの文章に、絵を描いたクリスチャン・ロビンソンさんはアニメーターとしての活動を経て多くの絵本を手がけています。
愛らしい犬たちのフォルムや、かけまわる姿、表情は見ていて飽きない魅力があります。
いきいきとしたイラストレーション。さわがしいけどとってもかわいい子どもたち。
いなくなった子を探そうと力をあわせる子どもたち。
そんな中で力を発揮する末っ子、アントワネットのかっこよさを味わってくださいね。
家族のなかで、だれもがとくべつで大切な子。
そんなことを再認識させてくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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