むずかしいじけんはサムくんにおまかせ!
小学生のめいたんてい、サムくんの登場です。
サムくんは、青葉小学校の2年生。本当の名前は井上オサムです。
見たところは、ふつうの小学生なのですが、小さい頃から推理が得意でいろんな事件を解決してきたので、「めいたんていサムくん」と呼ばれています。
今日も朝からサムくんの目の前に、ちょっとした事件がやってきました。
クラスメートのタケシくんとトモキくんとショウゴくんの靴箱からうわぐつが消えてしまったのです。だれかがうわぐつをかくしたのでしょうか? けれどもときどきだれかとけんかをするタケシくんだけでなく、トモキくんとショウゴくんのうわぐつも同時になくなっているなんて、なんだか変です。なにか3人に共通点が?
サムくんは、いそいでポケットからあるものを取り出して、鼻のそばにもっていきます。
サムくんが推理をはじめる時の必須アイテムは「空色のタオルハンカチ」。赤ちゃんの時から愛用していたタオルで作ったハンカチのにおいをかぐと、頭がさえて、推理力が増すのです。今回もハンカチのにおいをかいでいると、ハッと何かに気づいたようです。
同時に三人のうわぐつがなくなった理由とは?
さて、こんな事件を解決するのは、サムくんにとっては序の口。
この後、さらに難しい事件がやってきます。
じけんが起きた現場は公園。小さな女の子ミクちゃんがベンチに置いておいた「にんぎょう」がなくなったというのです。人間の赤ちゃんぐらいの大きさで赤い服を着ているにんぎょう。持ち出されたら目立つはずなのに、見た人は誰もいません。はたして、サムくんはどのようにナゾを解決していくのでしょうか。
この本には、この「きえた おにんぎょう」の他にも、登校時に毎朝あらわれるのらイヌの目的を探る「のらイヌの ひみつ」が収録されていて、1冊で2つのお話が楽しめます。
お話を書かれたのは、「ズッコケ三人組」シリーズ(ポプラ社)などで知られる那須正幹さん。「探偵小説というと高学年向けがほとんどだが、中には低学年物もあってもいいんじゃないだろうか」「子どもの観察力や想像力を前面に押し出し、小さな読者と共に、謎解きの面白さを共有したい」(※)という想いから生まれたのだそう。
絵本作家のはたこうしろうさんが描く表情豊かなサムくんはじめクラスメートの姿も元気いっぱいで、お話が一層楽しく伝わります。
小学生のサムくんが活躍する「めいたんていサムくん」シリーズは、 作者の那須正幹さんの想いが込められた、小学1、2年生から楽しめる探偵小説(ミステリー)。ほとんどの見開きに絵が入っていて、絵本から読み物のひとり読みへと挑戦する時期の子どもたちにとって頼もしい存在となってくれることでしょう。サムくんのところにどんなじけんがやってくるのか、そしてサムくんがどんな活躍をみせてくれるのか。このあとも続く「めいたんていサムくん」シリーズにぜひご注目下さい。
※「母のひろば 676号」(2020年 童心社発行)より
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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