イタリアの小さな公園に3頭のロバがいて、カートに子どもを乗せて、毎日公園の中をぐるぐるとまわっていました。公園には、ロバの他に1頭のポニーもいて、名前をピッコといいました。ピッコもまた、子どもたちをカートに乗せて、公園の中をまわっていました。
3頭のロバにくらべて、ピッコに乗ろうとする子どもたちはあまりいません。なぜなら、のんびりゆっくりと歩くロバたちに対して、ピッコはぱっちり目を見開き、駆け足であっという間に公園をまわってしまうから。そして、その様子はいつもどこか悲しそうなのです。
そんなピッコを見て、アルフレッドとジーナの兄弟は心配し、なんとか元気にしてあげたいと考えます。でも、ピッコは何がそんなに悲しいのでしょう。もっとにんじんが食べたいのかもしれない、いやりんごかな、それとも絵本を読んであげたらいいのかな。二人は思いつく限りのことを試してみるのですが……。
ピッコのために奮闘する、幼い兄弟の健気さを愛らしく、ユーモラスに描きだすこの物語。二人はありったけの知恵をふりしぼり、大人に対してだって、勇敢に行動を起こしていきます。その姿に勇気づけられる子どもたちも多いことでしょう。
絵本全体に降りそそぐ黄色い太陽の光のもと、子どもたちが生き生きと活躍する様子は、読んでいる人たちみんなの心を明るくしてくれるようです。たくさんの児童向け作品をのこしたルイス・ストロボスキンによる、子どもの率直な優しさに触れることのできる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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