
いつの話なのか、どこの話なのか。いつかどこかで起こりそうな、雲をつかむような話。不思議な男は、きょうもどこかで漁りをつづけている――ブラティスラヴァ世界絵本原画展2007年グランプリ受賞作の素晴らしい絵本。

シャープペンシル1本で、長時間かけて描かれた大学の卒業制作だということでまず驚きました。
学んだのがデザイン=メディア=情報学部ということにも、大学が応用科学大学ということにも、この作品に対する興味を深めてくれました。
作品はとてもシュールでありながら、何か警告を読者にぶつけているように思いました。
どこからかやって来たよそ者が、空の雲から魚を降らせて干物にしているというのです。
緻密に描かれた仰々しい絵と、その硬質なリアリティが、どんどん刺さってきます。
住民は、男の奇抜さにあくまで拒絶を貫きます。
そして男を追い出して、男の技を手に入れようというのです。
住民が行動する前に男は立ち去っていました。
そして恵みの基だと思っていた雲に家や人々は吸い込まれていきます。
理由のわからぬ恐怖が湧いてきました。
男は別の地で、また営みを始めました。
そうしたら雲から魚の他に珍しい物が降ってきたというところで物語は終わります。
降ってきたものは嫌でも予測できました。
何というお話でしょう。
しかも妙に啓示を感じさせる作品です。
静かな暗闇でした。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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