戦いの合間でさえ、人間も鬼も自分の過去をしばしば思い出す。
そう、『鬼滅』は過去の「記憶」をめぐる物語なのだ。
「回想」「走馬灯」「時間(過去・現在・未来)」などを鍵に、
「細胞の記憶」や「先祖の記憶」など物語独自の概念にも着目。
記憶研究を専門とする文学研究者が
真剣に読み解く『鬼滅』論!
【目次】
序章 『鬼滅』と記憶
第一部
「時間」と「記憶」の芸術作品としての漫画『鬼滅の刃』
第一章 漫画研究と「時間」と「記憶」
第二章 「回想の物語」としての『鬼滅の刃』 炭治郎立志編(那田蜘蛛山まで)
第三章 過去を語る技法としての夢と幻、そして記憶?無限列車編
第四章 繋がれる記憶 遊郭編 vs 上弦の陸・堕姫、妓夫太郎
第五章 遺伝する記憶 刀鍛冶の里編 vs 上弦の肆・半天狗、伍・玉壺
第六章 最後の戦い(一) 柱稽古?無限城へ
vs 新上弦の陸・獪岳、vs 上弦の参・猗窩座
?柱稽古編
消えない痛みの記憶
?無限城へ
珠世の血鬼術
?善逸vs新上弦の陸・獪岳
「物語」の継承と変容?呼吸法の伝承とその派生
?炭治郎、冨岡vs上弦の参・猗窩座
第七章 最後の戦い(二) vs 上弦の弐・童磨 vs 上弦の壱・黒死牟
?上弦の弐・童磨 vs 胡蝶しのぶ、栗花落カナヲ、嘴平伊之助
?血筋という縛り?上弦の壱・黒死牟
vs時透無一郎、不死川実弥、悲鳴嶼行冥、不死川玄弥
第八章 最後の戦い(三) vs 鬼舞辻無惨、鬼の王、すべての終わりに
?鬼舞辻無惨 vs すべての人々
?まとめ?「手」を「繋いで」、「家」に帰る
第二部
作品にちりばめられたテーマたち
繋がりと縛り
◎「糸」と「手」
◎「血」の強さと縛り
〈記憶や想いの継承〉
◎鬼の細胞に刻まれる「記憶」
◎まねびによる継承?叙述(ナラティヴ)の変奏
◎夢と古(いにしえ)の記憶?集合的記憶の場として
◎死者との対話と魂の実在
◎記憶の媒体(メディア)?身体、物品
◎伸び縮みする「時間」?無意志的記憶と走馬灯
◎「兄」として
◎他者を「人」として尊重し、「人」として生きる
◎侍?自分ではなく、誰かのために
◎「心を燃やせ」?燃えている「心」とは一体何なのか
終 章 記憶とは何か
1 記憶と身体
2 想起のきっかけ(トリガー)と無意志的記憶
3 走馬灯
4 改変される記憶と夢
5 変化する記憶の叙述(ナラティヴ)
6 記憶の重ね合わせと虚偽記憶(フォールス・メモリー)
7 記憶の叙述の再解釈
8 他者の記憶を共有する?集合的記憶
9 記憶の遺伝と集合的無意識
あとがき 物語の記憶を閉じる
続きを読む