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夜,ひとり暮らしの女のもとに,見ず知らずの男がたずねてきた。女の職業は映画の撮影所に勤めるメイク係。そして男の頼みとは?

『星新一YAセレクション4』(理論社)。
表題作である「夜の侵入者」をはじめとして、16篇の「ショートショート」が収められた、YAすなわちヤングアダルト向けの児童書。
ちなみに、「ヤングアダルト」は子供と大人の間の世代を指す言葉で、13歳頃から19歳頃までの若者のことをいいます。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
犯罪者が逃亡の際に変装をしたりすることはよく耳にします。時には顔を整形したりして逃げていたという事件もありました。
表題作の「夜の侵入者」はそんな犯罪者の逃亡を題材にしたショートショートで楽しく読みました。
ある夜、映画の撮影所に勤める女性のところに男が侵入してきます。男は未決囚で逃亡者。彼の目的は見事に逃げおおせるように顔を変えるというもの。撮影所の女は実は巧みなメーキャップで知られた人なのです。男は見事に顔を変えて逃げますが、途中で捕まってしまいます。女が施したメーキャップは指名手配されていた男の顔だったという、クスッと笑えるオチになっています。
この巻にはよく似た話がもうひとつあって、タイトルは「逃げる男」。
こちらも強盗事件を起こした男がやはり顔を変えて逃亡を図ろうとします。でも、大金がかかるというので、整形をする前にもう一度強盗を図ります。そこで盗んだお金をもって、整形外科医のところへ行くのですが、なんとその外科医が昨日強盗にはいった人そのものというお話。
よく似たテーマなのに、まったく違う話を創作する星さんはどんな顔をしてニヤリとしていたのでしょう。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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