「うるさいっ!」
夜遅く。この家に住んでいるおばあちゃんが、大きな声でねこを追い払います。ねこが大好きだったおじいちゃんを亡くしてから、おばあちゃんはすっかりねこが嫌いになったのです。
「ねこなんて かわなくて よかったわ。」
それでも、ねこたちはおばあちゃんの家に住みつきました。おばあちゃんは年を取っていたので、そばにねこがいても気がつかないのです。
ある日のこと。お散歩に出かけたおばあちゃんは、帰り道を思い出せなくなってしまいました。それからというもの、おばあちゃんはたくさんのことを忘れていき、ついにはねこが嫌いなことさえも忘れてしまいます。
年齢を重ねていくにつれ、少しずつ失くしていく大切な記憶。憎しみや悲しみも忘れ、穏やかな表情を浮かべながらねこたちとのんびり暮らすおばあちゃんでしたが、たった一つ忘れられないことがあったのです。それは……。
「ねこが嫌い」と言いながら、画面の中にはおばあちゃんを優しく見守り、かいがいしく世話を焼くねこたちがいっぱい登場するこの絵本。愛らしくユーモラスに描かれる絵は見ているだけで可笑しくて、心が明るく前向きになっていきます。
たとえ全てを忘れても、心に残るものがあるのなら、年を取るのも悪くない。そんな風に思わせてくれる、台湾発の心あたたまる物語です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む