休み時間。ぼくらは、ドッジボールのボールをめぐって言い争いをしていた。ぼくの足がラインから出ていたと、ヒロシがぼくのボールをうばったのだ。「ボール かえせ!!」「うそつき!」「でてないぞ!」。どちらのチームも主張をゆずらず、休み時間が終わり教室に入ってもまだもめていた。
「ヒロシのうそつき。おおうそつき」
そう言われた瞬間、ぼくの体があつくなった。
「なんだと! タクヤなんか しんじゃえ!」
一瞬、静まり返る教室。けれど、すぐにタクヤが「しんじゃえ!」と言い返し、そのまま教室中に「しんじゃえ」の言葉が飛びかった。その時、教室の戸に杉田先生が立っていた。
(先生のカミナリが落ちる)
そう思って先生の顔を見ると――。
そこから語られたのは、今まで誰も知らなかった先生の“ある過去”のこと。先生の話を聞きながら、ぼくたちはそれぞれの思いをめぐらせ涙があふれ……。
子どもたちの等身大の心境を描き続ける児童文学作家、くすのきしげのりさんが贈る「言葉の重み」と「いのちの大切さ」について考える渾身の一冊。杉田先生の真剣な眼差し、それを見つめる子どもたちの表情、そして最後に登場するみんなの優しい笑顔。親しみを感じる石川えりこさんの魅力的な絵によって、誰もが自分のこととして捉え、家族やまわりの人の思いに気づくきっかけとなってくれる、心に残る絵本になっています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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休み時間のドッジボールのとき。「ヒロシ、ラインから少し足が出たぞ!」「えっ、出てないよ!」。これで勝敗が決まるから、どっちも譲らない。「うそつき! うそつき!」「でてないぞ! でてないぞ!」。それぞれのチームが声を揃えて言い合いがはじまり、教室に入ってからも続いた。そして、ぼくは思わず言ってしまったんだ。「タクヤなんか、しんじゃえ!」。一瞬、静まり返る教室。でも、すぐにタクヤも「ヒロシこそ、しんじゃえ!」と言い返して、気がつくと教室は男子たちの「しんじゃえ」の言い合いになっていた。(先生のカミナリが落ちる)、そう思って先生の顔を見ると――。そこから語られたのは、今まで誰も知らなかった先生の“ある過去”のことだったんだ。
全学年の教科書に作品が掲載されている絵本作家、くすのきしげのりが贈る「言葉の重み」と「いのちの大切さ」について考える絵本です。
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