おばあちゃんが亡くなり、一人暮らしをしているおじいちゃんのことが心配でたまらない、サラ。ある朝、サラは「おじいちゃんに 会いにいきたい」とパパとママにお願いして、一人で泊まりにいくことになります。パパが車で送ってくれる間、不安げな様子。何か役に立ちたいと思うけれど、おじいちゃんに歓迎されるか心配なようです。
麦畑が広がる村の家につくと、心配がふき飛ぶほど、優しいおじいちゃんが庭先で迎えてくれました。パパはすぐに帰り、おじいちゃんと2人きりのお昼ごはんです。市場で買ったソーセージ、畑でとれたじゃがいも、黒パン、塩漬けキャベツ……。
昼食後、おじいちゃんが畑に行ってしまい、ひとりになったサラは、ふと庭一面に咲くすみれの花に目をとめます。おばあちゃんのようにすみれの花を飾ろうと、夢中で摘んでいると、ひらひらと飛んできたのは、すみれの妖精、テオドラでした。
テオドラは「あなたはアンナのまごでしょ」とおばあちゃんの名前を口にし、すみれのさとうづけを、サラに教えてくれるといいます。戸惑いながらも、テオドラのいう通り、すみれの花を洗って、卵の白身をまぜて……と手を動かしているうちに、サラはだんだん嬉しくなってきて……?
おじいちゃんとサラ、そして亡くなったおばあちゃんの心が交差するような、やさしい物語。
ゆっくり流れる午後の時間の中で、ふしぎなことが起こります。児童文学作家の石井睦美さんのやわらかく清楚なたたずまいの文と、すみれの花びらの、しっとりした繊細な艶やかさが伝わるKrimgen(クリムゲン)さんの絵がぴったり。
本書は、石井睦美さんが文を担当する「世界のお菓子」シリーズ、待望の第二弾。前作『王さまのお菓子』でくらはしれいさんが絵を描いたのは、フランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」でしたが、今回はオーストリアの皇室で愛され、作曲家ショパンも魅了されたという「すみれの砂糖漬け」。Krimgenさんは以前オーストリアに住んでいて、このお菓子をウィーンで味わったことがあるそうです。
子どもの不安と幸福感、おしゃれでぬくもりのある絵のタッチが素敵で、大人も子どもも手元に置いて、くりかえしページを開き、味わいたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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ゆっくりと溶けていく、お菓子の魔法。
『王さまのお菓子』に続く、世界のお菓子シリーズ、待望の第二弾!
・悲しみも、不安も、ゆっくりと溶けていく―おじいちゃんと孫のサラが織りなす、心あたたまる物語。
・文は石井睦美、絵はオーストリアで長年暮らした経験をもつKrimgen。リリカルな文章と異国情緒あふれるクラシカルな絵が響き合い、子どもから大人まで楽しめる作品です。
・オーストリア・ウィーンの皇室の伝統菓子「すみれの砂糖づけ」を題材にした物語。『王さまのお菓子』 (文/石井睦美 絵/くらはしれい)に続く、世界のお菓子シリーズ第二弾。
サラは、おばあちゃんをなくしてから、ひとりぐらしのおじいちゃんのことが しんぱいでたまりません。ある日、おじいちゃんの家に泊まりにいくことに。すみれをつんでいると、ふしぎなことが起こり……。
オーストリア・ウィーンの皇妃エリザベートが愛した皇室の伝統菓子「すみれの砂糖づけ」。石井睦美とKrimgenが喪失と記憶、時間とともに受け継がれていく想いを、美しく描きます。
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