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膨大な星新一のショートショート作品のなかから,長めのものだけをチョイス。ちょっと長めだからたっぷりおもしろい。第2弾!
『星新一ちょっと長めのショートショート2(理論社)。
表題作である「恋がいっぱい」をはじめとして、8篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。
表題作の「恋がいっぱい」がいい。
和田さんが表紙の装画で描いているように、このショートショートの出てくるのはかわいいキューピット。
恋のキューピットって、昔はよくいわれたもので、この子ができることは弓で矢を射ることだけだが、この矢が特別。
二本の矢で一組で、矢に命中すれば恋におちる。
ひょんなことからキューピットが幻覚剤を飲み込んでしまったから、大変なことに。
何しろキューピットがむやみやたらに矢を射るものだから、車と車が恋におちたり、敵同士の男女のスパイがひきつけあったり、サクラとブドウが恋したり、もう世界は大混乱。
そんなお話だけど、ちょっとオシャレなフランス映画にでもなりそう。
その他、サイボーグの男が地球規模の陰謀を未然に防ぐもののそのことに気付かない普通の人間の冷たい視線に絶望する「凍った時間」などは、アメリカのSF映画で制作されても面白そう。
もっともそうなれば、「ちょっと長め」ではなく、「かなり長め」が必要になるかな。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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