
鳥たちを追いながら、鳥たちと戯れる捨て子のスパイダー少年のピュアな魂の軌跡――。
1926年、3月のある晩、丘の上農場に赤んぼうが捨てられていた。羊飼いのトム・スパロウに拾われた赤んぼうは、トムとキャシーの夫婦に育てられることになり、スパイターと呼ばれるようになった。大きくなっても、ほとんどことばを話さず、歩き方も変なスパイダー少年だったが、彼にはある不思議な力があったのだった……。 戦争の影がしのびよる時代、イングランドの片田舎を舞台に、しずかに流れていくひとつの寓話。

あとがきでさくまゆみこさんが書いておられますが、動物ものか多いディック・キング=スミスにはめずらしい人間が主人公の作品です。
羊飼い小屋に捨てられた赤ん坊は、子どものない夫婦に育てられます。
成長するにしたがって、知的な発達が遅れていることがわかってきます。
作品の中で「イディオ・サヴォン」というフランス語で「知的にはおとるけれど、特定の分野ではすぐれた力を見せる人」と説明されています。
スパイダーと呼ばれた少年の赤ん坊の時から16歳までの成長をゆっくりと描いていきます。
育て親にも愛され、周りの人からも愛された少年には、動物の声まねができることと、動物と仲良しになるという特技がありました。
「いいこ」というのが口癖で、素直な人柄が感じられました。
年齢的にはどれぐらいから読めばいいのか、ディック・キング=スミスには中学年以降に読める作品が多く、
それよりももっと上の年齢の子どもたちに読んでもらえるように書いたということなので、中学生や高校生ぐらいかもしれません。
とても静かな穏やかなお話で、こういう形の幸せもあるということを感じました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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