ロビンには弟ができました。名前はベンジャミン。
とてもかわいくて、「大きくなったらサッカーをしようね」と話しかけます。
でも、ベンジャミンは重い病気で、間もなく亡くなってしまいました。
パパはおこりっぽくなり、ママは泣いてばかり。家はいつもちらかっています。
「ベンジャミンは星になったのよ」というママの言葉に、ロビンははしごで上ろうとか、
ロケットで行こうなどと考えますが、大人たちは取り合ってくれません。
学校の先生や、親戚のおばさんが、ロビンの気持ちを聞いてくれました。
やがて、おばさんから、ママに赤ちゃんができたことを知らされます――。
悲しいけれど、亡くなった子は家族の心のなかに生き、そして命は受け継がれる、
ということを感じる、家族の再生の物語。
--------------------------------------------------------------------------------
・訳者/野坂悦子さんからのメッセージ
『でも、わすれないよ ペンジャミン』は、赤ちゃんの弟を亡くしたロビンの物語です。
「死」を描いたオランダ語の絵本はこれまでにも訳してきましたが、
ロビンの気持ちをうまく受け止めることができない両親の姿に、この本ならではのリアリティを感じました。
両親にまた笑ってもらいたいと願うロビンは、まわりの人たちに支えられ、命と命のつながりに気づき、
次第に悲しみを乗り越えていきます。そんな心の動きを日本の皆さんを届けるために、
著者の了解を得て、訳文やレイアウト面で細やかな工夫を重ねました。
透き通った青と暖かな赤が印象的なこの絵本を訳し、世に送り出すことで、
大きな悲しみを少しでも分かち合うことができればと願っています。
続きを読む