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トリゴラス」 パパの声

トリゴラス 作・絵:長谷川 集平
出版社:文研出版 文研出版の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:1978年
ISBN:9784580813922
評価スコア 4.11
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  • かおるちゃんを救え! 

     JR東日本の企画「ウルトラマンスタンプラリー」(平成27年1月13日〜2月27日)が好評らしい。
     JR東日本の首都圏の主要な駅に設置された歴代ウルトラシリーズの全64種類のスタンプを集めるという企画で、スタンプ10個でウルトラめんこがもらえるという。
     スタンプを押すパンフレットには怪獣たちの特長も載っていて、これを持つだけで往年の怪獣博士の気分になれる。
     おそらく子ども向けの企画なんだろうが、大人たちが夢中になっているそうだ。
     なにしろ、「ウルトラQ」がTV放映されたのが1966年、昭和41年だから、この番組をリアルで見ていた世代ももう60歳を越えているはずだ。
     昭和30年生まれの私の、小学生の同級生で怪獣のことが滅法詳しかった男子がいたが、もしかしたらこの企画に歓喜しているのではないだろうか。

     この絵本はタイトルでわかるように、怪獣を描いた作品だ。
     作者の長谷川集平さんは昭和30年生まれだから、「ウルトラQ」世代といっていい。
     ある夜、少年は空で「びゅわん びゅわん」の音に目を覚ます。
     それはきっと怪獣にちがいない、と隣で寝ている父親に訊ねる。
     怪獣の名前は「トリゴラス」。大きな鳥の怪獣だ。
     ラドンのように大きな羽根で空を飛び、地上に降り立てばゴジラのように大暴れ。
     少年の頭の中では、街はもう「めちゃくちゃ」で「ぐちゃぐちゃ」になっている。
     しかも、こともあろうにかおるちゃん(少年は密かに彼女のことを想っているようだ)のマンションからキングコングのように彼女を連れ去ってしまう。

     父親は「あほか」と、そんな少年を一蹴する。
     「あの音は、ただの風の音じゃ」。
     少年のなんともいえない横顔が切ない。
     評論家の草森伸一は「少年の永遠の姿を捉えた絵本」と評したそうだが、怪獣に夢中になったかつての少年たちは、怪獣に連れ去られてそれぞれのかおるちゃんを助けようとしていたのだろうか。
     そして、あれから半世紀近く経って、まだかおるちゃんを救出できなくて、JRの緑色や赤い電車に乗ってスタンプを集めているとすれば、「あほか」ですまされない少年の純情である。

    投稿日:2015/02/15

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  • 実験的な精神世界絵本

    絵本であることに、賛否両論ありそうな作品です。
    マンガとして流すのもありかとは思いながら、思春期の少年の訳のわからない異性への葛藤を、劇画チックに語っているように思いました。
    恋心を持ち始めた少年が両親と川のじになって寝ているのも妙な家族ですが、「トリゴラス」は何の象徴でしょうか?
    ゴジラ映画に喚起された、自分の欲望の権化でしょうか?
    かおるちゃんに思いを馳せながら、思うようにコントロールできない自分への葛藤でしょうか?
    多いに悩めと言いながら、私の役どころは、いい年した息子を、嫁さんとの間に置いて 本を読んでいるオヤジのようです。

    投稿日:2014/06/20

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  • 長谷川集平さんの力量に脱帽

    • ジュンイチさん
    • 40代
    • パパ
    • 東京都
    • 男の子12歳、男の子6歳

    長谷川集平さんと言えば、「はせがわくんきらいや」でデビューしたことで知られ、「ホームランを打ったことのない君に」が良かった記憶のある作家です。

    少し前に「トリゴラスの逆襲」を読んだのですが、1978年の「トリゴラス」の続編とのことで、話の展開が分からなかったため読んでみました。
    それにしても、続編まで32年もの空白期間があるというのは、稀有な作品に違いありません。
    結論から言うと、2作は物の見事に繋がっており、2作で1つの作品であると言って過言でないということ。
    2作を続けて読むと、この作品に対する作者の想いが、十二分に伝わってきます。

    主人公の少年の、父に対する会話で物語は始まります。
    「とぼけんといてか、おとうちゃん。
    ぼくは ほんまのことが ききたい。
    あれは かいじゅうにちがいない。
    そうやろ おとうちゃん。
    かいじゅうが びゅわんびゅわんと とびよるのやろ。
    まちにむかって とびよるのやろ。ちがうか、おとうちゃん。
    なまえは トリゴラス。そうや、鳥のかいじゅうなんやで」

    真夜中の外の風の音に、少年が怪獣に違いないと想像するのです。
    最初は、単に少年の空想を描いただけの絵本かと思ったのですが、読み返すとそんな単純なものではないことが分かります。
    これは、少年の心象風景を描いたものではないでしょうか。
    それも、抒情詩的に高らかに描くというのではなく、怪獣を介して暴力的に描ききっているのです。
    その巧みさが、熱狂的は男性ファンを生み出してきた理由だと思います。

    文章はほんの僅かですが、少ない大阪弁が実に効果的。
    暗い単色で描かれた絵は、好みが分かれるところですが、青年期の少年の心情を如実に示していると言えそうです。

    小さいお子さんだと、怪獣のみに関心が向かってしまうと思いますが、ある程度、年齢が達すると何か分からないけど共感できてしまう、そんな類の絵本だと思います。
    長谷川集平さんの力量に終始圧倒された作品でした。

    投稿日:2011/07/09

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