まず読む前に本のタイトルを見て頭に浮かんだのは、次のように考える小中高生が結構いるだろうということです。
@同じものなら安いほどいい
A無料はおトク
Bキャッシュレスはお金がいらないもの
この本は上の3点について、きちんとおさえてありました。
@について
最近「いつも食べているハンバーガーをどうして値上げするの?」という子どもたちの声をよく耳にします。
物価高でものの値段が上がっていることはニュースで知っていますが、自分が買っているものにどれだけの人やものを動かしているのかまでは理解していないようです。見えませんから。
なので、12(商品が手元に届くまで)はすごく大事な話だと思いますし、「ぬいぐるみがどうして初め2000円と決まり、それが3500円で消費者に売られるのか」と具体的に例示しているのがわかりやすかったです。
Aについて
体験版などを利用する際に自分の個人情報を渡してしまう場合もあるので、タダにはタダになる理由があると知らせる必要性を強く感じています。
15(無料で使えるのはなぜ?)に書かれていますが、最後の「サービスにはそれに見合った対価(お金)を払う、これが世の中で守られるべきルールなのです。」の一文も太字などで強調するべきかもしれません。
Bについて
小中学生は親名義でスマホを使っているのがほとんどでしょうが、中に「○○pay」なども使えるようにしてもらっているために、「キャッシュレスはお金がいらないもの」との感覚を持っている子が割といます。
なので、17(キャッシュレスへの変化)も非常に重要な話題ですが、「魔法のしくみではない」という言葉が頭に残りやすくていいなと感じました。
また、そもそもですが、「どうしてお金ってあるの?」と子どもたちが考える機会がないと思います。
なので、子どもたちにはまず7(お金の役割とは?)をていねいに読んでほしいです。
「お金はモノの価値をはかれる『ものさし』」はお金の意味を理解するわかりやすい言葉です。
私はお金の話をするのは下品ということは全くないと思いますし、今までにそういうのを聞いたことがないので驚きました。むしろどんどん話をするべきですし、この本一冊で身近なところから世界や未来のことまで知り考えることができるようになると思います。
文字はたくさんありますが話しかけるような文章ですし、見やすい絵や図で補っているので、読みやすいと感じました。