京極夏彦さんは、えほん遠野物語シリーズの中で、怖い絵本を連発し続けています。
そのシリーズで、その怖さを競って、様々な画家が楽しんでいるような気がします。
樋口佳絵さんの絵は、その中で群を抜いていると思います。
きつねはよく人を化かすといいます。
笑い話や、民話でおなじみのきつねキャラですが、この絵本のように真っ向から不気味さを感じさせられては、思わず引いてしまいます。
初めは友人の藤七に化けて、笑いを取っていましたが、死んだお婆さんを動かしてみせるところあたりから、絵も次第に不気味さを増して行きます。
漁師の妻の逸話については、アップされたその表情に息を呑んでしまいました。
まさにツボを心得た、樋口さんの心憎いまでの演出です。
大人向けの絵本だと思います。