5冊出版されているこのシリーズ。1番最初に読んだのは、「おおきなもりのクリスマス」でした。残念ながら、こちらは未掲載作品ということでしたが(本当に原作と同じくらい素晴らしい絵本なので、ぜひ多くの方々の手にとっていただきたい、と心から願っています。)、前作の感想文にも書いたとおり、単に子供向けに書き直された物語ではなく、抜粋の仕方も、日本語訳も、原作の雰囲気を大事に、そのまま再現したような、大人にも読み応えのある構成となっています。それに加えて、絵も素晴らしく、幼い子どもたちにも、インガルス一家の絆の強さや、物のない時代の心の豊かさが、その温かい絵を通して伝わってくることと思います。
今回は、メアリーとローラが町へ買い物に行くお話なのですが、2人にとっては、町に行くのも、買い物をするのも、生まれて初めてのこと。前の晩から、かあさんが、ローラたちの洗い髪にたくさんの小さな布切れを巻きつけ、きれいな巻き毛に仕上げてくれました。娘は、この場面の絵を、くすくすと笑いながら見ています。昔は、こんなふうにして髪をカールさせていたんですね。特別におしゃれをして、町へと出掛けていくインガルス一家。現在ならば、日常の一こまでも、当時は、本当に特別な楽しみだったのですね。お店の品物も、塩や砂糖から、鍋釜類、洋服の布地、かなづちや釘、キャンディーに至るまで、戸棚の中や、床の上にも、ぎっしりと並べられています。今で言う「デパート」のようなものだったのでしょうね。ローラは、「こんなにたくさんある品物の中から、とうさんとかあさんは一体どうやって、買うものを選ぶのだろう」と、不思議でたまりませんが、現代っ子の娘も、ローラと同じように、目をきらきらさせながら、品物の1つ1つを楽しそうに見つめているのです。そんな様子を見ていると、今も昔も子どもの心はちっとも変わらないんだな、となんだかほっとします。娘が、この絵本を好きな理由も、きっとそんなところにあるんだろうと思います。