この夏の第71回青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」の「小学校低学年の部」に選ばれた1冊。
「課題図書」に選ばれた「選定理由」によると「柔らかな色使いだがインパクトのある絵、現代のグローバル社会を生きる子どもたちにふさわしい内容で、低学年の児童が友だちとの関わりを考えることができる。」とあります。
「書店員が選ぶ絵本新人賞2024」大賞受賞作でもあるこの本は絵本ですから、低学年の子供たちにとって読みやすいと思います。
ただし、描かれている内容はとても考えさせられます。
「寓話」という言葉を聞いたことがあると思います。「教訓的な内容を、他の事項に例えて表したお話」のことで、「イソップ物語」などがその典型です。
さかとくみ雪さんの『ライオンのくにのネズミ』も寓話物語といえます。
お父さんの仕事の都合で、ライオンの国の学校に通うことになったネズミくん。
みんながライオン語を話すし、声も大きい。習慣も違う。
それになんだかネズミ君を狙っていそう。
そんな中、ネズミ君はリスの女の子と仲良くなって、二匹でついにライオン君と対決することになる。しかも、サッカーの試合で。
試合を通じて、ライオンと打ち解けあうことになるネズミ君たち。
おしまいのページには、ネズミ君たちの姿は人間の子供たちに変わっていて、作者がこの作品を通じて伝えようとしていたことがよくわかります。
私たちが住むこの地球にはライオンもいるし、ネズミもリスもいる。互いに分かりあうことで、とっても住みやすくなるはず。
これはそんな絵本です。