『星新一ショートショートセレクション7』(理論社)。
表題作である「未来人の家」をはじめとして、15篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
装幀を担当している和田誠さんは星さんの子ども向けの作品に多くの絵を提供しているが、そのことについて和田さんはこんなことを言っている。
「多くの画家は大事なオチを絵にしてしまうから」だと。
そのあたりが星さんに気に入られたのだろうが、オチを気にするということでいえば、作品のタイトルの付け方もそんな感じがする。
この巻でいえば、「出現と普及」「金銭と悩み」「風と海」「石柱」「吉と凶」といった、実にそっけない、タイトルからストーリーは想像もできないものが多い。
そういう点にも心を配ったのではないだろうか。
表題作の「未来人の家」などは、なんとなく未来の人が住む家の話だとわかる。
この家は未来人がタイムマシンで運び込んだ、すべてが全自動の便利な家。
それを手にいれたエヌ氏だったが、ある時家の様子がおかしいことに気がつく。
この家は設置された時計ですべての作業、掃除とか炊事とかが設定されているのだが、それが少しずつ遅れているではないか。
この話など、単に便利な未来の家ということではなく、オチは未来人が持ち込んだところにある。
はて? その理由(わけ)は。
和田誠さん流に「お楽しみはこれからだ」。