ちいさなモミの木にとって、大きな木が切られて船に使われて海を渡ることが憧れでした。
ちいさなモミの木にとって、切られてクリスマスツリーとして飾られることが憧れでした。
だけど、大きくなったモミの木は望みどおりにクリスマスツリーとなったら、いろいろな現実が待っていました。
クリスマスが終わり、枯れてしまったモミの木。
邪魔にされたモミの木。
最後には火にくべられて燃えていくモミの木。
昔を思い出しながらため息をつくモミの木にとって、しあわせって何だったのでしょう。
この物語は、決して後悔や、否定形では語られていません。
きっとモミの木は幸せだったのです、もっと別の生き方があったかもしれない。
もっと楽しめたかもしれない。
でもそんなもんじゃないかな。
モミの木は、人生そのもののような気がしました。
切られてしまったら、後は枯れるだけだけど、切り倒されることなく、育ち続けることだけが幸せではないかもしれない。
このお話を読みながら、なんだかしみじみとしてしまいました。