クラスで目立たない存在の小学校4年生の女子が、自分とは正反対の仲良し女子グループとの関係を通して、自分を見つめていく物語。
2013年刊行。小学校時代に、「仲良しグループ」に入る、入らないという体験を通して、人間関係の難しさを知った人は多いと思う。私も、本作品の少女のような引っ込み思案なところや、他の人にはあまり理解されない感性、その他諸々あって、なかなか学生時代は大変だった。
子どもにとって、「友達の輪に入っている」「仲間外れになっている」というのは、死活問題だ。
更に、女子特有の意地悪さ、見栄の張り合い、劣等感による様々な問題などが、実に生々しく、容赦なく描かれている。
よく人の心や様子を観察している作家だなと思った。
主人公は、一匹のひよこを飼うことで、自信を取り戻したり、信頼できる人を見分けられるようになったりする。
本書で描かれている通り、本当に素敵な人は案外地味だったり、独自の道を歩んで満足しているから、人と変に争わなかったりする。
どんな人と付き合ったらよいか、本書はとても参考になると思った。
大人になっても、本書のような過酷な人間関係と自分の劣等感と闘っている人は多いと思う。いろんな年代の人に、人間関係や、生きること、命の尊厳について考えさせられる力がある物語だと思った。
とはいえ、説教臭くなく、ドラマチックで面白く読了できたのは、作者の素晴らしい力量だと感心した。
読み応えがある。