はじまりは本当にちょっとした事。小さな風が落とした葉っぱが、エドの顔にはりついたのです。エドに吹きつけたイライラの風は、あっという間に大きな嵐に。
エドはとてもいい子。でも、今はそうではありません。不機嫌なのです。イライラ、イライラ。手にしたほうきで何もかもをはきはじめます。
「ザッザッザ」
はいてもはいても、エドのイライラはおさまりません。イライラの嵐におされて、葉っぱだけでなく、自転車も車もバスも電話ボックスもティータイム中のおばさまたちまでも! 地面を見つめ、ただひたすらにはき続けます。嵐に巻き込まれたエドにとっては、みんなが敵に見えるのです。顔をあげれば、まわりにはウキウキするようなものがたくさんあるのに。
(本当に、このままはき続けていいのかな?)
続けるのが辛くなってきたエドは、ふと思います。そんなエドを救ったのは、やっぱり小さな風で……。
誰の心の中にもある感情を、風と落ち葉になぞらえて、ユーモラスな街の出来事として描き出すこの絵本。見方をちょっと変えるだけで、まったく違うものが見えてくるかもしれない。大事なのは「変わらなきゃ」と思うこと。
イライラがとまらなくなって困ったら、エドのことを思い出してみて! きっとヒントが見つかるはずですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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