毎週土曜日、マダーニくんがサッカーボールをはだしの足にとらえると、みんなが息をのむ。チームメイトだけじゃない、町中がぴたっと動きをとめる。ハトもとばない。なぜなら、マダーニくんの魔法の時間がはじまるから。
マダーニくんは、ボールを右足から左足へ、ひざの上ではずませたかと思うと、肩から肩へひょいひょい。おでこへ、背中へ、またはだしの足の上に。そして、シューーーーート! 大歓声はコートを離れ、ご近所に広がっていく。遠く離れたアパートの一室にも。
ぼくたちは、みんな知ってるよ。マダーニくんが最高のサッカー選手だってこと。時々思うんだ。「もしマダーニくんが、ちゃんとしたサッカーシューズをはいたら、どんなすごいプレーをするのかな」って。マダーニくんは、もう長いことブリキの箱にお金をためている。大事な試合の前の日、マダーニくんは練習を休んで買い物に行ってくると言う。明日こそ、マダーニくんが新しいシューズをはいてくるかもしれない。ところが次の日、マダーニくんはいつもどおりのはだしで……!?
ボールを持たせれば、一目でわかるマダーニくんの才能。けれど、チームメイトたちが彼のことを誇りに思っているのは、それだけじゃない。少年の一途な想いと、彼をとりまくあたたかなまなざしが胸を打つこの絵本。丁寧に描かれるマダーニくんのプレーをする姿や、その表情を見ていると、読者もまた、彼の魅力の虜になってしまうのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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ぼくたちの スーパースター、マダーニくんは いつも はだし。
ときどき おもうんだ。「もし、マダーニくんが ちゃんと した サッカーシューズを はいたら、どんな すごい プレーを するかな」って。
だいじな しあいの まえの ひ 「かいものに いってくる」 と、いう マダーニくん。
「あしたこそ、マダーニくんが あたらしい シューズで てきを けちらしてくれる」と おもったのに、しあいに あらわれると、なんと いつもどおり はだし?
――マダーニ少年の想いと、なかまたちのあたたかなまなざしが胸を打つ絵本です。
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