「ねえ、みんな! 君という男の子は世界にひとりしかいないんだよ。知ってた?」
知ってた、つもりだったけど…。本書を読むと「○○らしさ」に自然に影響を受けて、その子の本当の欲求がわかりにくくなっていることに気づきます。
強くなきゃとか、こんな服を着なきゃとか、男の子はスポーツが得意なほうがいいとか、ウケをねらえたほうがいいとか…。
ほら、ね?「君らしくしていれば、それでいいんだよ」って、この本は言ってくれるけど、なかなか難しい。なぜ難しいんだろう? 読み進めるうちに、自分はどんな人間なのか、自然に考えていけるような絵本の構成になっています。例えばチームプレイが好きなタイプなのか、友達の話を聞いてあげてぎゅっと抱きしめてあげたいのか。
全部できる人なんていないし、苦手なことがあって当たり前。どんな「好き」も「弱さ」も大事。だけど…みんなはうまくできているのに、自分だけできていないような…そんな気持ちになることって、あるんじゃないかな。大丈夫! きっと友だちは君のいいところを引き出してくれるよ。いっしょにいてほっとできる友だちと仲良くしよう…!
本書は多様性の国、オーストラリアから届いた絵本。作家でソーシャルワー・カーのジェシカ・サンダーズが文を書いています。カラフルな絵を描いたのはイギリス生まれのイラストレーター、ロビー・キャスロ。巻末にふたりの作家の思いっきり笑顔の写真が掲載されていますよ。ふたりに共通しているのは、「『ぼくって、わたしって、大切な存在なんだ』と思える本を作りたい」という思い。“他の子みたいにならなくていいんだよ。あなたはあなたのままでいい” そんなメッセージをはっきりと伝えてくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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