「じいは どうしたのじゃ。
まだ かぜが なおらんのか。
はよー じいに あいたいぞよ」
元気になるには美味いもの。さっそうと現れた全国各地の忍者たちが、じいのために名物たずさえ、いざ参上!
青森からは、マグロにんじゃ。
「じいが かぜを ひいて
おなかが
にやにやする
と きいて おみまいでござる。」
それを聞いて姫さまびっくり! 風邪をひくと、おなかがニヤニヤ笑うのか!?
島根からは、しじみにんじゃ。
「じいの
はが はしる
と きいて おみまいでござる。」
またまた姫さまびっくり! じいの歯が走るじゃと!?
忍者たちは、口々におかしなことを言っています。
じいは風邪をひいたし、おなかは笑うし、歯が走るし、背中もかじるし……
会えないでいるあいだに、じいがとんでもないことになってしまったと、姫さまは大あわて!
「もう ほうっておけぬ。
ひめが じいを たすけるぞよ!」
全国各地から集まった忍者たちが話す方言を聞いて、とんでもない勘違いをしてしまう姫さまのドタバタを描いた、シリーズ第2弾。
著者は『にんじゃサンタ』『おこさまランチランド』などで知られ、ダジャレやオノマトペ、方言など、言葉をテーマにした絵本も数々制作している、丸山誠司さん。本書にも、日本語の豊かさをユーモラスに描き出し、底抜けに明るいドタバタ劇で元気な気持ちを分けてくれる、著者ならではの魅力があふれています。
こんな感じを、にやにやするっていうのか! 歯が走るって、そういう意味か! ちいさな島国のなかでも、いろんな言葉があって、いろんな名物があって──
新しい視点で、日本という国や自分の故郷を見つめるきっかけにもなりそうです。
(堀井拓馬 小説家)
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