はじめて出会う人に自分のことをよく見せたい。そんな風に思ったことはありませんか?
「なんといっても さいしょが かんじん。」
森の奥の小さな家に引っ越してきたやまねこは、ご近所さんにかける最初のあいさつを考えながら野原へ続く道を歩いていきます。すると近くに住む動物たちが、あきちに集まっていました。「よし、こんにちはって いうぞ」と思ったその時、みんなが自分のうわさ話をしていることに気づきます。
「ひっこしてきたのが おしゃれな こ だったら いいな。」それを聞いたやまねこはあわてて家に帰り、特別立派な上着に着替えます。そしていざ挨拶をしに出て行こうとすると今度は、「おしゃれも いいけど、ものしりな こだと いいなあ。」という声が。外見はなんとかなっても急にものしりになるのは大変ですよね。やまねこはどうしたのでしょう。その後も次々と動物たちが話す自分への期待に応えようと頑張り、なかなか挨拶できないやまねこ。そのうちちょっとした事件が起きて……。
やまねこは無事にみんなと仲良くなれたのでしょうか。お友達になるまでは、お互いにどんな子なんだろう?なんて気になってドキドキの連続。けれども、いざ話してしまえば緊張していたことなんて吹っ飛んでしまうぐらいにすぐに打ち解けてしまうのは、子どもたちの友達づくりによくある優しい風景のように感じます。
2018年の課題図書にも選ばれた『きみ、なにがすき?』の世界とつづいているこちらのお話。前回と同じ動物たちが登場するのを発見したり、また今回のお話の絵をよく見ていくと、前回のお話に通じている場面もあったり、合わせて読むと楽しみがいっぱい。小学1、2年生からおすすめしたい、誰かと出会う時のドキドキの気持ちをそっと応援してくれるような優しい絵童話です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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