かくれんぼしましょ、舞台は商店街! 古い駄菓子屋、ちいさな書店、おおきなえんとつのお風呂屋さん。どこかなつかしい建物たちに、隠れているのはあの妖怪!?
おさげの女の子といっしょに、並びたつ商店街の建物に目をこらしながら、妖怪たちを探して奥へ奥へと進んでいきます。しかしさすがは妖怪、隠れる場所も人とはちがって、一筋縄ではいきません。
女の子と妖怪が手をつないで店先をねり歩いていても、商店街の人たちはだれも気にしません。妖怪がそこにいることが、この商店街ではあたりまえなのでしょうか。
どのお店も人々の表情を見れば、笑顔と活気にあふれていて、とてもにぎやか! 一方で、どこか薄暗く描かれた商店街の風景は、そんな人々の様子とギャップがあって、独特の印象を生んでいます。まるで商店街を、うすい布一枚へだてて、遠くからながめているような?
不気味? かわいい? みんなで手をつないで、きょろきょろと仲間を探すそのしぐさや表情は、なんとも無邪気。元気いっぱいにはしゃぐ子どもたちを見ているようで、たのしい気持ちがあふれてきます。まあ、いささか目玉はぎょろりとしていますが……。
からかさおばけに、あずきあらい。カッパに大入道、ろくろ首。だれもが知ってる妖怪たちと、ふしぎでたのしいかくれんぼ! 人間の子どもと妖怪が手を取り合ってあそぶ、ほほえましい光景を描いた一冊……かと、思いきや? 最後に「あっ」と言わせるしかけは、自分で確かめてみてください。
そうそう、隠れているのは妖怪だけではありません。ヒントは作者。絵のすみずみまでじっくり見て、見つけてみましょう!
(堀井拓馬 小説家)
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